イチロヲ

血とバラのイチロヲのレビュー・感想・評価

血とバラ(1961年製作の映画)
3.5
ある屋敷に集まった上流階級の男女グループが、その土地に根付いている吸血鬼伝説の概要を知らされていく。ロジェ・ヴァディム監督がパラマウントと契約してハリウッド進出を果たしている、サスペンス・ホラー。

複数名の男女が織りなす愛憎劇に、女吸血鬼の亡霊が陽動を仕掛けてくる。形骸化された恐怖演出は使用されておらず、メランコリックな少女漫画の世界観を映像化したような、幻惑的なムードに終始一貫している。

女吸血鬼の裏事情では、ご多分に漏れず「女の悲哀」をテーマにしたメロドラマが展開。登場人物たちの精神崩壊ぶりが非常に素晴らしく、大林宣彦監督が感銘を受けたというのも頷ける。「HOUSE」の原点がまさかこんなところにあろうとは。

余談だが、ロジェ・ヴァディム監督は豪奢な女性遍歴の持ち主であり、ブリジット・バルドー、アネット・ヴァディム、ジェーン・フォンダなどとの結婚歴がある。そして交際していたカトリーヌ・ドヌーヴとの間にも子供がいる。生粋の女誑しだなぁ。
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