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再会の街/ブライトライツ・ビッグシティのtakのレビュー・感想・評価

3.8
ドラッグ依存で身を持ち崩すお話としては、同時期に製作され、西海岸を舞台にした「レス・ザン・ゼロ」があるけれど、僕はこの「再会の街」の方がずっと好き。というのはラストシーンが好きだから。

同じように”失業しました今からどうする?”という結末の映画に「リアリティ・バイツ」があるけど、親のスネかじりまくってイチャイチャしてやがるラストの主人公二人を見て、「こいつら大丈夫なのか?」と僕は老婆心的な感慨を持った。それに比べて、今までの生活から目覚めて「一から学び直すのだ」という前向きな決意で終わる「再会の街」の方が断然いい。

サングラスを焼きたてのパンと交換し、見てくれだけのええかっこしいの生活から変わろうとする主人公が表現されるいい場面だ。こだわっていた”今まで”から”現実”に向き合おうとする主人公を応援したくなる。何度も出てくる昏睡胎児の挿話もモラトリアム型の青年たちや”今まで”にこだわる主人公を象徴している。胎児と会話する場面には一瞬ギョッとしたけど。

マイケル・J・フォックスは撮影当時29歳で、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」がかなり若作りだったから年相応の役柄ともいえよう。おまけにヴィッキー役のトレイシー・ポランとは、この後プライベートでパートナーとなったとか。パーティー会場から涙ながらに自分の弱さをぶちまける電話の場面、他の映画のマイケルとは違って格好悪い。でも人間味のあるいい場面だ。

サントラもちょっと渋めで素敵だ。愛聴盤なんす。音楽担当はドナルド・フェイゲン。エンドクレジットにかぶさる Century 's End はAOR好きにはたまらない。他にはプリンスが提供した新曲 Good Love や、80年代後半のディスコにはお約束のニュー・オーダー True Faith(「アメリカン・サイコ」でもディスコで流れてた)等々。

ただ、仕事スッポかしたりする主人公に自業自得じゃん、という冷ややかな思いは観ていてずっとあった。そういう面では感情移入しずらかったのだけれど、とにかくラストシーンが評価につながっている。終わり良ければすべて良し。それにしても日本の宣伝文句「摩天楼シリーズ第2弾」!ありゃねぇだろ。
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