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『美しき仕事 4Kレストア版』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.2
 この日はシネマヴェーラで蓮實重彦のドン・シーゲルの傑作『燃える平原児』のトークショーを聴いた後、前日に行われた横浜シネマリンでのクレール・ドゥニ監督のマスター・クラスに参加したのだが、ここ数年新宿渋谷日比谷エリアから出ていない(永遠に出られなくなってしまった説あり)私の久方ぶりの横浜遠征であり、もう高揚感が半端なく、会場に付いた時点では既にクレール・ドゥニと坂本安美さんと藤原敏史監督は何やらステージのへりに座りながら談笑していて、これはとてつもなくヤバい現場に来てしまったと実感した。横浜フランス映画祭の為に月曜日に来日したというクレール・ドゥニ監督だが時差ボケが酷いらしく、自分でもいったい何を話しているかわからないとおどけた表情を見せていたがいやはやとんでもない。自身のフィルモグラフィについて言葉を選びながらとにかく饒舌に淀みなく語る語る。坂本安美さんとは長年の友人だと語るクレール・ドゥニ監督が一番心を許していたのは安美さんであり、実はこの翌日に今作の先行試写が横浜ブルク13と渋谷の文化村ル・シネマで行われたのだが、明らかにお疲れのくたびれたご様子で、3つの場所で行われたトークショーの全てに参加した私としては土曜日と日曜日のテンションがまるで違ったことを素直に報告したい。

 然し乍ら今年の横浜フランス映画祭の目玉として再来日を果たしたクレール・ドゥニ監督の多彩なフィルモグラフィと多岐に渡る活動を日本のシネフィル連中が放っておくはずなどなく、「クレール・ドゥニ特集 予想不可能な世界へ」と冠した過去作とベルリン国際映画祭で最優秀監督賞を受賞した最新作『愛と激しさをもって』や4Kで蘇った傑作処女作『ショコラ4Kリストア』など傑作群が目白押しだったのだが、そのトドメとなるのは今作だろう。フランス外人部隊の副官兼シェフ、ガループ(ドゥニ・ラヴァン)はブルーノ・フォレスティエ(ミシェル・スボール)司令官の指揮下でフランス外人部隊を率いていたジブチ時代を思い出す。フランス外国人部隊とは文字通りフランス人が一人も在籍せず、主にフランス統治下にあった人々の選抜部隊で、先進国で見られた多くの外国人部隊と同様に、彼らは後にフランス国籍が与えられるという目の前に幸福なにんじんがぶら下げられていた。徴兵制のない国では人種など介さず今やこのようなビジネス部隊が溢れかえっているのは言うまでもない。ガループとブルーノを除く残りのメンバーは実際の外国人部隊メンバーを起用しようと目論むも断られ、結局ジブチ軍がオファーを了承したというのは皮肉な話だが、結果的には吉と出たのではないか?

 約2週間という限られた時間の中で、撮るべく絵をあらかじめ描きながらどこかに人種的な妥協点を見い出さなければならなかったとクレール・ドゥニは言うが、その政治的な折衝を活劇の中に落とし込んだクレール・ドゥニの手腕に参ってしまう。3回目のトークショーで須藤健太郎さんが話したように今作はハーマン・メルヴィルの1888年の小説『ビリー・バッド』にあらかじめ基づいており、ベンジャミン ブリテンの中編小説を基にした1951年のオペラを下敷きとしたサウンドトラックの素晴らしさはいつしか国境も人種も易々と超えて行く。3つ目のトークショーのQ&Aで最後の質問者は今作で行われたガループの所業を美しい仕事と言いながらちっとも美しくないと言ったが果たしてそうだろうか?紛争も内乱もないフランスで、外国人部隊があのような涙ぐましい努力を続けていたという逆説的な答えに戦後すぐに生まれたクレール・ドゥニは反応し、このような捻じれた映画を撮った。今作の世界観に遠くない映画といえば大島渚の『戦場のメリークリスマス』やスタンリー・キューブリックの『フルメタル・ジャケット』やフランシス・フォード・コッポラの『地獄の黙示録』が挙げられるのだろうが、今作が内包するハラスメントやセクシャリティは来たるべき21世紀(令和の時代)を見据えていた。クライマックスのCoronaの『The Rhythm of the Night』が醸し出す多幸感はフルスロットルでガードレールに激突する様な死の兆しを孕む。

 実は当初はドゥニ・ラヴァンがベッドの上で拳銃をかざすシークエンスがラスト・ショットで、この多幸感に溢れるシークエンスはその前だったという信じられない話をクレール・ドゥニは語り、今作の途方もないような迷宮ぶりが明らかになる。ブルーノ・フォレスティエを演じたミシェル・スボールのすっかり年老いた姿に魅了されつつも、横浜フランス映画祭の公式翻訳者を請け負いながら、『小さな兵隊』という初期のゴダールにしては振り返られない映画を、たまたまタイトルを忘れてしまったクレール・ドゥニに追尾するように、ゴダール2番目の映画と曖昧な訳をした通訳者の映画的な教養の無さを恥じる。
どど丼

どど丼の感想・評価

3.6
ジブチの広い景色をバックに、重低音の効いた劇伴と統一的な訓練のシーンが生み出すシュールなシークエンスの数々から、人間の深淵に眠る激しい情動がジュクジュクと滲み出ていく様が恐ろしく、身悶えするほど美しい。ムズ痒い程気味の悪い感覚を残しつつ、途轍もない余韻を残す力強い解放の物語として、とても印象に残る作品だった。
「美しき仕事 4K レストア版」

横浜フランス映画祭2024にて鑑賞。クライテリオンのブルーレイで一度鑑賞しているが、日本語字幕版で初上映な事に加えて、監督の舞台挨拶ありとのことで往復6時間の距離を青春18きっぷを使って鑑賞してきた。

東アフリカに存在し、エチオピアとソマリアに接する国ジブチでフランスの外人部隊として従軍する兵士たちの物語。初見の時に、この部隊について疑問に思ったのだが、監督によるとこの部隊はフランス人以外の人間で構成され5〜15年の従軍によりフランス国籍を得られるという訳ありの部隊らしい。

とにかく映像が美しい。クレール・ドニ監督が撮影監督のアニエス・ゴダールの「地球の始まり、または終わりの様な景色」という発言を引用していたが、その言葉が不思議と合ってしまう様な圧倒的な景色。それが35mmの温かみとシャープさを兼ね備えた映像で堪能できるのだから、目にとってこれ以上の至福はないだろう。

初見の時も思ったけど、台詞が少ない分、キャラクターの感情が非常に繊細で、少しでも気が緩むと全く別の意味に捉えてしまうのではないかと思うほど。93分しかない割に死ぬほど神経を使う。主演のドゥニ・ラヴァンが感情的になっても表情を変えることがないのでより感情を読み取るのが難しいのだが、そこが凄くいい。やっぱりドゥニ・ラヴァンはかっこいい。

また、質疑応答の際に隣の方が質問していたのだが「男の肉体美」がすごく印象的な作品だった。軍人ならではの筋肉質な肉体や迸る汗、そして脈打つ血管など、エロティックなシーンは一切ないにも関わらず、官能的であり、男の肉体に対する賛歌。監督はこれまで描かれてきた女性の肉体美ではなく、男の肉体の美しさを描きたかったらしいが、男の自分でも惚れ惚れしてしまう肉体と生きることの美しさ。

さらにシャンタル・アケルマンの「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」やジェーン・カンピオンの「ピアノレッスン」など女性監督の映画が時代を経て更に評価されていることに対しての質問があったが、これに対して「元来男の文化だった映画が、時代の流れと共に女性も参加する様になった。その中で多くのいい作品が出てきたが、最近になって急に女性監督が増えたわけではないと自分では思っている」というアンサーも非常に印象的だった。質問が質問なので、ちょっと不安な質問ではあったが、偉大な女性監督であるクレール・ドニ監督自身からこの質問への答えを頂けたのは非常に貴重なことだっただろう。



最後に本作のラストのダンスシーンについて。ここからはネタバレあり。


ドゥニ・ラヴァン演じる主人公は軍での不祥事から外人部隊を退き、フランスへ帰国することが決定する。その前夜のダンスシーンがあの激しいダンスであり、様々な意味を込めていることを監督自身の口から聞けたのは非常に貴重だった。初見の時もこのダンスシーンに圧倒されたが、何の意味合いがあるのかが分からなかった。まさか外人部隊を退く事になった主人公の死のダンス的な意味合いがあるとは思ってもみなかった。このシーンが劇場のスクリーンで観れただけでも得なのに解説までしてもらえるとは。質問してくれた人に感謝。

2回観ても全てを吸収しきれないので、5/31の公開時にもう一度鑑賞しようと思う。ほんと何度観ても新たな発見がありそうだし、その度に好きになりそう。噛めば噛むほど味が出る映画である。

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