ストレンジラヴ

遠すぎた橋のストレンジラヴのネタバレレビュー・内容・結末

遠すぎた橋(1977年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

「あの橋は少し遠すぎたな」

※ややネタバレ
極めて異色の作品。まず、題材がノルマンディ以降連合軍の数少ない失態のひとつであるマーケット・ガーデン作戦であること。そして失敗劇をオールスターキャストで描いているため、無駄遣いと言ってもいいくらいキャストがらしからぬ扱いを受けている。
以下はその一例である;
ダーク・ボガード…無能
ショーン・コネリー...フルボッコ
ロバート・レッドフォード...上映開始から2時間放置
ジーン・ハックマン...今更!?
マイケル・ケイン...まだマシ
エリオット・グールド...まだマシ
マクシミリアン・シェル...超強い ※ドイツ軍

もっとも、人物描写は恣意的であったようで、作戦司令官ブラウニング中将を演じ、自身も英国軍将校として従軍経験のあるダーク・ボガードは、実際のブラウニング中将と交流があったことから本作の描写に疑問を感じ、監督リチャード・アッテンボローとはこれを最後に疎遠となってしまった。
しかし不親切な作品である。元々の作戦自体がグダグダなのでやむを得ないが、どうしても場面展開がブツ切りになってしまい、登場人物も次々と入れ替わる。にも関わらず登場人物の名前や所属、階級はテロップで一切解説されずセリフから推察するしかない。せめて名前と所属くらいはテロップを入れる配慮が欲しかった。
それでも戦闘シーンや進軍シーンは圧巻で、恐らく歴代戦争映画でも最大規模ではなかろうか。特に序盤の空挺部隊の出撃と英国第30軍の進軍は息を呑んでしまった。大迫力を通り越して残酷なまでに美しい。でもってジョン・アディソンのスコアが最高なんだわ。負け戦に使うには勿体ないくらいの一世一代の大仕事をやってのけたと思う。
政治的な思惑から勝算度外視と楽観的な見通しでの計画立案によって行われた本作戦。「上が勝手に号令をかけると部下が死ぬのさ」...いつの時代にも人類は同じ過ちを繰り返す。