やむちゃ

ジャカルタ13爆弾のやむちゃのネタバレレビュー・内容・結末

ジャカルタ13爆弾(2023年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

備忘録
2024.3.6 大阪アジアン映画祭(ABCホール)で鑑賞。

監督アンガ・ドウィマス・サソンコ、チッコ・クルニアワン、アルディト・プラモノ、リオ・デワンコなど出演のアクション作品。

上映後に監督が登壇、質疑応答などがあった。

ジャカルタで現金輸送車がRPGを撃ち込まれ襲撃されるテロが発生、実行犯組織から対テロ対策機関に「市内に13個の爆弾を仕掛けている」とのメッセージが届き、戦いが始まる…といったお話。

インドネシア映画は、10年以上前の「ザ・レイド」以来…というか同作しか観たことがなかった。

単純な娯楽作かと思っていたが、なかなか社会的な問題を描いた作品だった。
インドネシアでのテロといえば、イスラム過激派など宗教対立が思い浮かぶが、今作でのテロの動機は「貧富の差の解消」。
富む者や国から搾取され続ける貧しい人たちのために、社会を変えようとするテロリストの「考え」には、共感するところもある。現地の観客からもそのような声があったらしい。
ただその手段として、爆破テロで人を殺すことに対してはテロ組織の中でも反対する者もおり、その葛藤なども描かれている。
作中で「スリヤ基金に騙された」という言葉が何度も登場するが、上映後の監督の話では、実際にあった事件(作中では少しだけ名前を変えている)で、多くの経済的に恵まれていない人たちが騙されたそう。その事件では自死する被害者もたくさん出たが、実行犯の大半は無罪でのうのうとシャバで暮らしているらしい(怒)。

爆破シーンや銃撃戦も迫力があり見応えがあるのだが、難点は若干長いこと(144分)と、画面が暗いこと。
インドは上映時間が3時間がスタンダードと聞いたことがあるが、インドネシアも2時間半程度無いと観客が満足しないのかも知れない(知らんけどw)。
内容があっての長時間は良いと思うが、無くても良かったんじゃない?と思えるシーンもあり、やや冗長に感じた。その辺をカットすれば2時間以内に収まって、もっとテンポが良くなったのではないかなぁ。
また全編を通して画面が暗さも気になった。
監督も上映後に、「なるべく自然の光で撮影するよう心がけた」と話していたし、日本や香港などを除くとアジアの都市の夜は、都会でも(屋内、屋外とも)思いのほか暗いことは知っている(部屋は間接照明が多いし、日本の都市部のような街灯があまり無い)。が、夜の屋外シーンは流石に暗すぎて見辛かった。
この二点がクリアされれば、もっと観やすい作品になったと思われるだけに残念だった。

とはいえ、迫力があって、時々クスっと笑えるシーンもあり、なかなか見応えのある力作だった。
やむちゃ

やむちゃ