Gerbera

燃えるドレスを紡いでのGerberaのレビュー・感想・評価

燃えるドレスを紡いで(2023年製作の映画)
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ケニアに堆く積もった、誰にも着られなくなった服たち。世界中の”着ないけど勿体無いからリサイクルに出そう”という罪悪感と優柔不断の塊かと思うと恐ろしい。
ここ10年で特に酷くなったという。
もう服は作らないで欲しいという現地で暮らす人達の切実な言葉が重い。言葉が出ないというユイマさんの感想に共感する。何を感想に書いても綺麗事にしかならない。

ケニアの干魃地域で暮らす、伝統的なビーズのネックレスや帽子、皮を縫い合わせたドレスが1番印象的。本物の素材と、暮らしの中の文化から生まれた本当の美しさ。

EPSONの混紡生地を水を使わずに紙やフェルト生地に変える技術や、布への印刷技術とSpiber社の蜘蛛の糸から発送したタンパク質の合成糸の技術は素晴らしいと思った。目の前の問題に誠実に向き合いたい。

その時代によって人を取り囲む環境や社会の状況は変化するけど、人が装いで楽しむことや、物をつくること、美しさを生み出したい欲求は伝統的な衣装の時代から変わらない。ユイマさんの問題意識と正面から向かい合う姿勢は勇気のいることで大変だけど見習いたいと思った。

前半がケニアでのリサーチ、後半からパリコレの制作という構成で、ドタバタ劇に共感とハラハラする面白さを感じつつ、ケニアで見たものとの乖離はどうしてもある。ショーに間に合わせなくてはならないというやはり現代のファッションビジネスの枠組みの中で物を作るから考えてばかりではいられず、モノを間に合わせでも作らなくてはならない。みんなでする仕事だから期限に間に合わないことはみんなが職を無くして食べられなくなること。毎シーズン新しいものを作らなくてはならないシステムもどうにかならないものなのかな、、。
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