どぅん

見知らぬ人の痛みのどぅんのネタバレレビュー・内容・結末

見知らぬ人の痛み(2022年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

コンテンツモデレーターにハマっていったのは、他者への同情を通して自分の傷を心の奥底に沈めていく作業だと思いながら見ていたけど、それ以上に元々倫子は見知らぬ人の痛みにも共感出来てしまう優しい人だったんだろうなぁと思った。生徒からの告白でようやく自分の傷自体に向き合い始めたことを考えると目を背けないのは心が死んでしまってたって解釈な気もするけど、ただ心が生きてるからこそ目を逸らせない人間なような気もする。

見たくないものを見るべきなのか、逃げてもいいのかここ最近ずっと考えてたから少し似たテーマで印象的だった。見ないという選択肢がない環境に置かれている人間にとってそんなことを考えることすら傲慢で、鑑賞後に美香役の佐々木心音さんから出た恵まれている事の実感というあまりにも正直な言葉が刺さった。

舞台挨拶で主演の大西礼芳さんが仰っていた「表情を正面から撮らない事に配慮を感じる。それは監督がドキュメンタリー畑の人だからこそ」という言葉が印象的。大切な誰かが傷ついている時じっと見つめたりせず、ただ抱きしめたり互いに正面を向いていたりするものだよね。
どぅん

どぅん