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正義の行方のsnatchのレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
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本当に真相は闇の中
限りなくクロに近いシロだと思う
でも、疑わしきままでは死刑ではないだろう

1992年福岡県飯塚市の森の中で小学一年生の二人の女の子が殺害され遺体で見つかった「飯塚事件」
日本の警察に導入され始めた初期のDNA鑑定の警察による鑑定結果と、犯人らしき車の目撃情報、容疑者の過去に疑われた前歴、容疑者の車のシートと被害者に付着していた繊維鑑定。これらが証拠となる

wikiで見るとその他の証拠材料もあり警察目線になれば、疑わしい
西日本新聞社は捜査状況を確認し、どこよりも早く容疑者について報じた
幼子を抱えた容疑者の妻は、警察とは助けてくれるもの 頼みにするしかないと思っていた
弁護士目線になれば、どの証拠も甘い

そしてどこを探しても実態が掴めないのが無罪を主張するが、その他については一切口をつぐんでしまった容疑者。容疑者から犯人へ犯人から被告となり裁判で死刑判決、異例の早さで2008年に死刑執行された久間三千年という男だった

取材を受ける警察関係者は、全員退職している。歳を取ると、その人のしてきた事が顔に表情に刻まれていると思うのだが、彼らから受ける第一印象は真面目に職務に忠実に努めてきたのだろうとは思う
でも、もしかしたらそれが職権の許容範囲を超えていたり、証拠ありき犯人ありきの思い込み、最も重視しているものは巨大組織 警察の威信だったのかもしれない

三十年後に西日本新聞はこの事件とは関係のない記者に事件についての再検証の取材をさせる。二年に渡る連載中に有罪にするためにの警察の証拠固めがあったのかもという疑念もわいてくる
そして最後に、関係者の口から思わぬ人物の名前が上がり驚いた。その国家権力を背景にした張り巡らされた設計図が透けて見えてきてゾワっとした
司法制度も絡めとられている


森🌳この森
正義は何処に…森の深緑に吸い込まれていくような…女の子たちの一瞬 犯人の正体 警察という異世界 棄却され続ける死刑執行後の再審請求の紙束 報道する人間の責任…
次々にくる証言の間に挟む、森と雪道 雨 急カーブと三叉路とダブルタイヤ…そこに繰り返す同じ音響 耳に目にこびりつく

この事件の被害者と家族、関わった関係者の苦悩は死ぬまで続くのだろう
死刑執行された本人は何も話さなかったのだから…
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