にさ

正義の行方のにさのレビュー・感想・評価

正義の行方(2024年製作の映画)
3.6
疑わしきは罰せず


このドキュメンタリーは、大きく二つの立場から映される。有罪を信じるもの、無罪を枯渇するもの。
おそらく、あえてそう映していると思うが、有罪とした警察側はそれを武勇伝のように語る。過去の自分たちが勝ち取った功績のように、傲慢にも正しいことをしたと自分に言い聞かせるように見えた。
私たちは無罪を主張する弁護士団の味方につかざるを得ない。国家権力はいつだって私たち国民の敵のように語られてきたせいだろうか。

最も人間らしかったのは、当時、この事件を報じたメディアたちの意見だ。マスゴミと称されながらも、その職を目指すものはこの時代にも少なからずいて、私もその存在意義に同調する人間の一人だ。彼らは後悔していた。過ちであるかすら分からない、自分たちの過去の仕打ちを。そして責任を感じ、意見を通した。それはマスメディアとしての矜持であり、誇りでもある。

死人に口なしとは実に言い当て妙で、検察からすればこの事件はすでに死刑執行という形で死したものとなった。決して開くことのないパンドラの箱だ。それをこじ開けようとする弁護士団は実に勇者のように映される。いつだって、そういった弱きものの味方でありたいと願うのが人間の性だろう。それでも、私は傍観者の一人から脱することは永遠にできないのだ。それでも、傍観者が一人でも増えることが、この事件を真の解決へと導くのかもしれない。


警察を引退された方々なので、高齢で方言が強くて何を言ってるのか分からない時があった。字幕つけてほしい。
にさ

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