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季節のはざまで デジタルリマスター版のmamのネタバレレビュー・内容・結末

3.6

このレビューはネタバレを含みます

スイス山中の古いホテルで育ったサミー・フレイが少年時代の思い出を回想する、シュミット自身の記憶も織り交ぜたノスタルジックで幻想的なうたかたの夢物語。現れては消えてゆく儚さと色褪せない煌めきは万華鏡のように美しく...。

夜ごと披露される、妖しげな読心術で人々を魅了する魔術師のウリ・ロンメル、気怠げに歌うイングリッド・カーフェンが最高な歌手とピアノ弾き。少年にとっての世界一の美女であるアリエル・ドンバールは男たちと浮名を流し、覗いた鍵穴からはあられもない姿に。いつも最新コミックをくれる気立ての良い売店の女性、少年の祖父はかつて大女優サラ・ベルナールに愛されていた幻の給仕。その事を誇りに思っている祖母はフェリーニの妹が演じている。階段から優雅に降臨するサラ・ベルナールの威厳よ...。個性的な常連客が繰り広げる華やかで幻想的な仮装パーティーも夢の終わりのようなクライマックス感で良かった。

男がコミックを取りに入った海の見える部屋からの、作り物のような青い海と空のラストも印象的。

2024-155
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