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ポビーとディンガンのMelkoのレビュー・感想・評価

ポビーとディンガン(2005年製作の映画)
3.5
中学生の時に見た作品を、15年ぶりに再鑑賞。

オパール採掘で一攫千金を狙う父。
息子アシュモルもオパールの魅力に取り憑かれていて、父の採掘を手伝っている。
母は田舎になかなか馴染めない様子。そして、娘ケリーアンには、ポビーとディンガンという2人のイマジナリーフレンドがいる。馬鹿にして笑う周囲の人間たち。家族ですら、適当にあしらう。
ある日、父のミスでポビーとディンガンが行方不明になってしまう。探して!と懇願するケリーアンを真面目に取り合わない家族。心配と不安に苛まれるケリーアンは体調を崩し、日に日に衰弱していく…

ファンタジーを期待した初見の中坊の時の感想は「?」
だから内容もほとんど覚えていなかった。
今回久々に再見して、実はケリーアンのエピソードは起爆剤なだけでメインではなく、人間のドロドロしたところ、大人の未熟なところが中心となっていたことに気づいた。
で、結局何が言いたかったのか、何を伝えたかったのか、映画にするなら焦点を当てて伝えなければならないポイントがボヤけまくり。出てくる要素も散漫で、連続ドラマかのようなぶつ切り感なため、映画としての完成度という意味では結構渋め。
まあまあな年齢の大人になった今見返してみて、そうやって色んなところが気になってしまったことが、ちょっと切なくもある。

ただ、兄妹の絆が強かったことは昔の印象と変わらなかった。
見えない側からすると1人いるってだけでもちょっとゾッとするイマジナリーフレンドを2人も抱えるケリーアン。演じる子がまた絶妙に可愛くなくて痩せっぽちで素朴。誰も自分の言うことを信じてくれず、悲壮感と孤独感を募らせる彼女に、唯一救いの手を差し伸べたのは、散々彼らの存在をバカにしてた兄。
そのピュアすぎる行動と、必死な思い、目の前で死にかけている妹のために自分ができることを必死に探す様子がとてもいじらしくて…
ついていい嘘とダメな嘘をわきまえる兄はまだほんの子どもなのに、立派すぎる。
親よもっと成長しなさい。

胸糞な田舎の連中。田舎の閉鎖的な空間の怖さ。大人は分からずや。
もう、こんなクソな田舎なんて捨てちゃえよって思ったほどの陰険さ。

誰だって、自分のせいで人が死ぬのはイヤなもの。最後にあそこに集まれた人たちは、ギリギリ人としての尊厳保てたということよ。
最後、お父さんがポビーとディンガンの特徴を覚えてたところは良かった。やはり可愛い自分の娘の親友だったんだもの。
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