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殺人鬼の存在証明のsashaiceのレビュー・感想・評価

殺人鬼の存在証明(2021年製作の映画)
4.0
“つらい子供時代だった"
え、面白かったよ?!支離滅裂だけど、憎めない。どうか公平な目で見てほしい。残酷なロシア社会の精神を完全に投影するような陰鬱さ。ありがちな展開の中にロシアっぽいヤサグレ感が散見されて非常に心地の良い作品でした。
"みんな辛いだろ、ここはロシアだぜ?だったらみんなが殺人犯か?"の流れ好き。タルコフスキーを彷彿とさせる典型的に陰鬱なソビエト表現主義と現代の娯楽的価値の高いシリアルキラーとの奇妙な組み合わせ。唯一の難点は年代がコロコロ変わってどんなロジックで展開されてるのか追跡不能な点。突っ込みたくても突っ込ませないスタイル。ロシア映画はCGを扱うのがあまりうまくないけど、表現力は一流。さすが芸術の国。話の内容的には残忍な連続殺人を紐解くソビエトの刑事についての殺人犯罪スリラー。登場人物がまた見事なほどに憂鬱で詩的でソビエト感がすごい。陰鬱極まりなく、どこか"なんとでもなれ"というヤサグレ感があり、ディストピア的で典型的。ラストの後味の悪さもソビエトぽいな。
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