A24が贈る、オールタイム・ベストのコンサートムービー！再リリース。
●トーキング・ヘッズはお恥ずかしながら『アメリカン・ユートピア』の数年前から聞き始めた口でして、『アメリカン・ユートピア』があまりに良かったので、その原型となる本作をずっと観たい観たいと思っておりました。ようやく映画館で鑑賞！なんですが、ちょっと時間が合わずIMAXでは観られなかったんですね…残念！
●今の私は、『アメリカン・ユートピア』を観てない頃には戻れないわけで、本作を『アメリカン・ユートピア』後に観るという時系列が全く逆での感想しか言えないわけです。
この『ストップ・メイキング・センス』という原型があって、『アメリカン・ユートピア』があったのだと思うと感慨深いし、いろいろと興味深いです。そんなわけでリアルタイムで『ストップ・メイキング・センス』をご覧になられた方々とは全然違う感想になってしまうんですね。
●本作を観ると、『アメリカン・ユートピア』がリスペクトを捧げ、更にそれをテクノロジーで（完全に無線の機材にしてましたね）一層視覚的にダンスやマスゲーム的な動きを取り入れて洗練させているのが分かります。逆に言うと40年前の本作が当時どれだけ洗練されていて、めちゃくちゃモダンだったか、ってことですよね。これぞ時代を超えたマスターピース！
本作を観ると、『アメリカン・ユートピア』とは違う、熱気や異常なグルーヴ、そして何よりも若かりし頃のデビッド・バーンのカリスマ性がパッケージングされていて、これはこのときだけしか出せないものであり、本作が金字塔たる所以なんだなあと思います。
あの資材や機材が放置された舞台から、曲に合わせて一人ひとりメンバーが登場し、見せ場の演奏をしていく。次第に音数が増え、ステージに楽器が設置され、逆に舞台はシンプルになっていく。ライティングは計算し尽くされ、またメンバーは自由に演奏し、動き回り、ダンスをする。このときは機材も優先だっただろうし、舞台裏のクルーは本当に大変だっただろうなあと思うと、カーテンコールで、クルーが舞台に呼ばれたのも納得です。観客、スタッフ、メンバーが一体となった本当に素晴らしい舞台だと思いました。。
何よりもデビッド・バーンとライトスタンドとのチークダンスが良い！これまた計算され尽くしたダンスを、全く計算していないかのようにしれっとやってのける。これってロックのステージなのかな？と思うくらい、ショーとして魅せることを意識してるし、どんなバンドよりも動きを計算している。
何よりも音楽のグルーヴがヤバい！トーキング・ヘッズの音楽は、知らなくても踊れるし、のれるし歌えるんですよね！
●サポートの5名はすごいですよね。オリジナルメンバーを凌駕してしまってるし、すごく前へ前へ出てるし、彼らがいなければこのグルーヴ感は出なかったと思います。デビッド・バーンが、ライブでの曲の再現可能性を高めるために、アルバム製作に彼らサポートメンバーを参加させていたのですから、このライブこそが真のプロダクトであり、最終形。
確かにサポート・メンバーが全員黒人で、これを見ると白人による黒人音楽の搾取と、当時言われていたのもわからないでもないです。しかし私は『アメリカン・ユートピア』を観たからこそ、そんなことはない！と胸を張って本作を観られるわけです。バーンはそこに対して真摯に向き合ってきたからこそ、『アメリカン・ユートピア』での人種の壁を超えた音楽の発展があったし、今の人種を超えたリスペクトに繋がっている。あの厳しいスパイク・リーがちゃんとリスペクトしてるくらいなんですからね。
ちゃんとサポートメンバーとオリジナルメンバーがお互いにリスペクトしているように私には見えました。
●「この曲だけ浮いている」と評されていたらしいトム・トム・クラブの一曲も、私は最高に可愛いと思うし、あるべきだと思います。バーンがあのビッグスーツに着替えるために必要な曲で、ちゃんとその時間経過をわからせるために必要、との判断だったそうで、これを切らないでくれたのは本当に良かった！例えるなら米米ＣＬＵＢのライブでシュークリームシュが一曲やるのと同じですね！（世界的アーティストをＪ・ポップアーティストで例えるのもダサいし、名前もややこしいし、何より古いし、余計にわからんわ！ってかんじですね…）
●また、本作のタイトルバックは例の印象的な字体。パブロ・フェロの作品らしいです。最近数日間で、『博士の異常な愛情』を見返したし、それをリスペクトしている『哀れなるものたち』も観たから、なんかこういう縁もあるよなあと思ってしまいました。真似したくなりますよね、この字体。
●早速家に帰ってサントラをイヤホンで爆音鑑賞しましたが、やっぱり瞼の裏に彼らの動きが鮮烈に残るんですよね。こういうロックバンドのライブって、本当に彼ら以外に無いですよね。サントラ聴いてて踊れるし、動きたくなる。最高のコンサート映画と言われる所以でございます。最高の作品でした！IMAX観たい！IMAX上映回数増やしてくれ〜〜！！
