Mashirahe

名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)のMashiraheのレビュー・感想・評価

3.7
登場人物や協賛企業が増加しすぎ、それらへの目配せや仕掛けを忘れずに複雑なプロットを走らせてしまったために事件は現象ではなく装置として扱われてしまう
そのためか自分がシリーズで特に嫌う、「嘘に自信がなくて言い訳を重ねる」としか言いようがない結論ありきの推理パートはやたら回りくどく、推理は完全に不可能である
別にコナン映画の推理なんて不可能で構わないんだけど、今回はビジュアル面が貧弱だったのがいただけなかった
過去の作品だと恋愛や大規模テロという大きな題目が存在したため、その満足感でもって付随する言い訳に目がいかなくなるのだけど、今回は決定打となるビジュアルの提示がやや唐突で、スペクタクルも散発的なため感情が持っていきづらかった
対決の構図も整理すれば面白くなったはずが、人間関係もアクションシーン詰め込みすぎで結果「なんか凄い」シーンが連発されることになった
まあ演出力が極めて高い監督なのでそれでも見れてしまうのが凄いところである 宣伝の多さも加味して日本のトランスフォーマー、マイケル・ベイ作品と言っても過言ではないだろう 技術はひとつの頂点に達しているし、観光案内に余念がないのもあって怪作『ロストエイジ』を彷彿とさせられた
最後に加えるとこのシリーズの素敵なところは未だに80年代っぽいバブリーな価値観が浸透している点だと思う
函館で100万ドルの夜景を、なんて真面目にやってくれる映画は懐古と言うには新しすぎ、近代と言うには古すぎるためかほぼ存在しない 青函トンネルがまだ存在しない連絡船の時代だろう
そのキザったらしさや垢抜けなさを余すことなく味わえる素晴らしい作品だった
蛇足だが「100万ドル」を函館で消費しちゃったから元ネタの神戸には来てくれないことほぼ確定しちゃって辛い あそこも素敵なのにね
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