MasaichiYaguchi

記憶の居所のMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

記憶の居所(2023年製作の映画)
3.7
新鋭・常間地裕監督が「記憶」をモチーフにオムニバス形式で撮りあげた中編映画では、母娘の交流を描いた「味の話」、男女の逃避行を描く「香の話」、2人の少女の関係を瑞々しく綴る「音の話」の3編で構成されていて、観る者の感性を刺激する映像詩が繰り広げられる。
他者の死に慣れてしまった看護師の唄は、疎遠になっていた母が亡くなったとの報せを受けて故郷へ向かう。
一方、美術館で出会った男と女は、ゴッホの「夜のプロヴァンスの田舎道」で描かれた風景を見に行こうと、フランスへ旅立つため月夜の中を空港へ向かって車を走らせる。
そして或る少女が名もない音楽を奏でる時、もう1人の少女がその姿を夢中になって見つめていた。
母娘交流を描いた「味の話」には山下リオさん、小久保寿人さん、磯西真喜さん、山本奈衣瑠さんらが出演し、男女の夜の逃避行を描いた「香の話」にはサトウヒロキさん、橘舞衣さん、2人の女学生の関係を瑞々しく描き出した「音の話」には成瀬凜さん、富山雅さんらが出演し、この3編がときに交差し合っては離れ、観客夫々の感性に訴えていく。