MasaichiYaguchi

湖の女たちのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

湖の女たち(2023年製作の映画)
3.2
作家・吉田修一さんの同名小説を大森立嗣さんが監督・脚本を手がけて映画化した本作は、介護施設で起きた殺人事件を切っ掛けに、真実を求める登場人物たちの姿が、炙り出された過去の罪を交え、愚かさと愛おしさ、汚れとイノセンスに彩られて描き出される。
湖畔に建つ介護施設で、100歳の老人が何者かに殺害される。
事件の捜査を担当する西湖署の若手刑事・濱中圭介とベテラン刑事・伊佐美佑は、施設関係者の中から容疑者を挙げて執拗に取り調べを行なっていく。
事件が混迷を極めるなか、圭介は捜査で出会った介護士・豊田佳代に対して歪んだ支配欲を抱くようになる。
一方、事件を追う週刊誌記者・池田由季は、署が隠蔽してきた薬害事件が今回の殺人事件に関係していることを突き止める。
やがて捜査の先には、過去から隠蔽されてきた恐るべき真実が浮かび上がってくる。
そして、その真実は想像を超えた過去の闇を引き摺り出し、後戻り出来ない欲望に目覚めた男女は先の見えない道行きに暴走していくことになる。
我々も観ていて、湖の暗い水面に呑み込まれそうな気分になります。