誰もいないリビングに夜がくることから始まり、同じリビングに朝が来て終わる。
荒い画質と明暗に拘りを感じる。夜を夜として映していて、灯りのささないところは何も見えない。
序盤の固定でリビングを映し続けるところ、たっぷり時間を使うことでこの作品のアティチュードを示している気がする。
善良な市民代表のような老婆が終電で寝過ごして終点から家まで歩いて帰る、という話。
自力で何とかしようとし、
過去の縁に頼ろうとし、
どうにもならないかと思ったら見知らぬ他人からの救いの手が差し伸べられる。
ホームレスの安否を確認するの、おせっかいな人柄が伝わってきた。
車では会話を楽しまなくちゃ、という台詞があったけれど何でもないようで本当に同意。
娘が海を見つめるシーンで終わるけれど、あれは妄想だろうか。
エンドロール、人の名前が先に出ていて、役割が後で浮かび上がる演出はすごく格好良かった。