ぶみ

毒娘のぶみのレビュー・感想・評価

毒娘(2024年製作の映画)
3.5
この家で幸せになることは〈ちーちゃん〉が許さない。

内藤瑛亮監督、佐津川愛美主演によるドラマ。
中古の一軒家に引っ越して来た家族が、謎の少女〈ちーちゃん〉に絡まれる姿を描く。
主人公となる深瀬萩乃を佐津川、夫・篤紘を竹財輝之助、篤紘の連れ子となる中学二年生の萌花を植原星空、謎の少女・ちーちゃんを伊礼姫奈が演じているほか、馬渕英里何、凛美、内田慈、クノ真季子等が登場。
物語は、冒頭、高校生のカップルが空き家に侵入したところ、謎の少女に襲われるというキレ味抜群のシーンでスタート、その時点では少女が謎のベールに包まれていたため、最後までそのスタンスで行くのかと思いきや、結構序盤の段階で少女・ちーちゃんの素性が明らかにされたのは想像とは違っていたものの、以降、そのちーちゃんと、継母と娘という家族でありながら家族になりきれていないという少々ギクシャクした家族関係を軸として進行。
そんな中、一見幸せそうながら、奇しくもちーちゃんの存在が家族の闇の部分をホラー的な演出を交えながら顕在化させていく様は、中々面白い仕上がりとなっているものの、竹財演じる夫があまりにもステレオタイプなキャラクターとなっていたのは残念だったところ。
そうは言っても、そんな夫が、幸せな家族を知らしめたいがためにSNSにプリンの画像をアップした後に、それを味わうことなく掻き込むシーンは、彼のキャラクターを端的に示すと同時に、昨今の風潮を痛烈に皮肉っており、良かったかなと感じた次第。
映像の片隅にボヤッと映り込む赤い姿のちーちゃんの不気味さが秀逸であるとともに、タイトルのように毒娘と言いながらも、実は毒親問題も孕んだ家族の物語をホラーテイストで描き出しており、石川淳一監督『変な家』よりも遥かに変な家だった怪作。

ケーキくれたら、帰ってあげる。
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