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陰陽師0のKUBOのレビュー・感想・評価

陰陽師0(2024年製作の映画)
4.0
20年ぶりにあの『陰陽師』が帰ってくると聞いて、楽しみ半分、心配半分だった本作。と言うのも、映画ファンなら口を揃えて「また山崎賢人⁉︎」だからだ。

その『陰陽師0』を公開記念舞台挨拶付き上映にて鑑賞。

舞台挨拶で、『陰陽師』の話が来た時ワクワクしたって、山崎賢人は大物だね。野村萬斎版を知らないのか、知ってて物怖じしないのか?

で、最初に作品の大まかな評価を言えば、悪くないです。おもしろいです。

まず陰陽師の学校「陰陽寮」が、なんかホグワーツみたい。その中の先生に『帝都物語』で魔人加藤を演じた嶋田久作がいたりするのもおもしろい。

ただ、山崎賢人はやはり「アクのない晴明」かな? 山崎賢人は俳優として上手くはなった。ただ『キングダム』の信も、『ゴールデン・カムイ』の不死身の杉元も、本作の安倍晴明も、みんな一生懸命な若者になってしまう。瞳の中に「野望」や「狂気」や「妖気」は感じられない。

私は「中村倫也」にやってもらいたかった。晴明は一生懸命感を出してはいけない。どんな事態にも余裕をかまして、本気を出せばなんぴとも敵わない。そしてキツネ感。今の俳優だと中村倫也以外には考えられないんだよね〜。

また博雅はただ情けない奴じゃない。朴訥ゆえに晴明に揶揄われることがあっても、「武」にも「楽」にも秀でた武人で、晴明も一目おく男だ。

『陰陽師』はその晴明と博雅のバディ感が作品の根底にある。だから、それを言えば、伊藤英明も染谷将太も違う。

中村倫也に晴明をやってもらえるなら、博雅は武田航平か赤楚衛二あたりがいい。人はいいけれど、キメる時にはビシッと決められる男らしさがほしい。

山崎晴明、悪くはない。悪くはないが、これだけどのヒーローも山崎賢人に集約されていくと、我々映画ファンは選択肢を与えられていないことになる。それはそれで問題だ。

オールドファンは、どうしても、あの野村萬斎の晴明の尊さを求めてしまうが、これからこのシリーズも続くのなら、山崎晴明にも慣れていかねばならんのでしょうな。続編あれば絶対見るし(笑)。
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