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青春18×2 君へと続く道のrenのレビュー・感想・評価

青春18×2 君へと続く道(2024年製作の映画)
1.9
青春映画だということが1発でわかるこちらを鑑賞!清原果耶ちゃんと藤井監督のタッグということもあり期待していたが内容が足りないなぁ、という印象。

まずは、台湾や日本の景色が美しく旅映画の風格はちゃんとあり、このシーズンに公開するにもぴったりな感じ。藤井監督の映画的なショットも相まって、テレビドラマとは違う雰囲気には満足感あり。

しかし、ストーリーは、全く意外なことが起こらず、国境を超えた恋愛でスケールの大きい話なのかと思いきや小規模。どうせなら大人になってから全く違う国で偶然出会うくらいの奇跡が起こって欲しかった。
また、ミスチルと岩井俊二に「2人の思い出」を託していたが、私にこの二つが全く関係がないため、エモさを共有できなかったのが惜しい。それにしたって、映画を一緒に見たこと、同じ音楽を聴いたことがあまり響いてこない。
そして、ヒロインの運命に「余命10年」と似たような展開だと感じてしまい、別の切り口で同じことをやっただけなのでは?と。ベタな展開の手紙を読んだり書いたりするシーンが後半に集中しており、しつこさも感じてしまう始末。ジミー側の手紙は冒頭から小出しにしてもよかったのでは?アミのイラスト集を見ながら、彼女視点の回想も挿入されるが、本編で辿ってきたジミー視点とあまり差がないので、ただ繰り返されてるだけの印象。これもしつこい。
また、ジミーの日本旅パートがとてつもなくつまらない。ヒロインの事情も事情なので仕方ないが、たとえば行く先々にヒロインの描いたポストカードがあって、痕跡を見つける…とか期待してしまったのだが…(笑)

とにもかくにも、映画でしかあり得ないような奇跡が足りなくてドキドキしたりきゅんとしたりすることもなく、また人生の壮大さ、選択することの難しさ、青春の痛みなど、人生についてのメッセージをあまり感じられなかったのが非常に残念でした。

追記

ミスチルや岩井俊二を自分の思い出の中に見いだせないから感動できなかったのか?について考えた。他の映画で全く知らない歌や映画が挿入されて泣いたりすることがあるわけだから、必ずしも知ってることが感動につながるではないと思っている。そりゃ自分の思い出の中にあるものと映画に登場したものが共通すれば感動できる確率も高いが、物語や演出、対象に触れた時の表現などによって、全く知らない歌だったとしても感情が共有できれば知ってるか知らないかは論点じゃないだろうと思う。つまり、「私の人生にも、そういう思い出の曲や映画がある」ということがキャラクターたちと共有できればいいわけである。(なかったとしても、そういうのなんかいいなって思えるだけでもいい)
そして、その思い出の曲を聴いていた時分、私は何してたっけ…というように、自分の人生を振り返りさせる引力みたいなものが、今作には足りない。
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