Sasada

一月の声に歓びを刻めのSasadaのレビュー・感想・評価

一月の声に歓びを刻め(2024年製作の映画)
4.1
感じる必要のない罪の意識の三者三様の話で、残された者、やむを得なかった者、被害を受けた者がそれと向き合う118分。
それに向き合い言葉を吐くことで、彼らはその記憶を客体化して捉え直す。「わたしは悪くない」し「みんな罪を背負っている」し、何より「あなたは美しい」のだと。
あまり評判が芳しくなかったので観るか迷ったが、とてもとても良かった。

聞こえないはずの波や風の音が聞こえたり、聞こえているはずの人の声が聞こえなかったり。
現実を捻じ曲げてでも届けたい思いや心を守るために拒否せざるを得ない音があって、それでも聞こえてくる過去の残響がある。音と声の映画だった。
(大阪編である人物が窓を開け放つ、その瞬間にサラウンドになるようにデザインされているそう。映画ってそういうこだわりで出来てんだなあと思ってちょっと感動しちゃった)

故人を弔いそして過去の自分を葬る、その過程でカメラが捉えるのはタバコでありライターであり雪面を照らす灯火で、水や船と同じくらい火の使い方が印象的で美しかったです。
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