MikkoIchitani

バティモン5 望まれざる者のMikkoIchitaniのレビュー・感想・評価

バティモン5 望まれざる者(2023年製作の映画)
3.6
体裁ばかり気にして、移民として受け入れた人々の暮らしや尊厳を軽んじ、破壊していく不条理な政治に胸糞が悪くなる。エレベーターはなく、いつ倒壊してもおかしくない集合住宅での生きづらさが冒頭から事細かに描かれていたり、追いやられた人々ならではの結束力や仲間意識が浮かび上がるような撮影が秀逸。かといって誰かが圧倒的な絶対悪に見えすぎないよう、絶妙な采配でBTSを盛り込む手腕もすごい。

大きくて長いものに何百年も巻かれ続けた悪しき風習や価値観、倫理観と闘い、変えていくためにこれからを生き抜かないといけないわたしたちができること、してはならないことはなんなのかを考えさせられた。ふた通りの"怒り"を対象的に描くことで、物事を動かすためのアクションを対比することができる。ただ、どっちが正解なのかは難しい。闘い続けるためには、気丈さも重要だし、インパクトを与えるには激しさも効果的。