IMAO

HereのIMAOのネタバレレビュー・内容・結末

Here(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

フレームの切り取り方がとても現代的。どういうことかというとフレームの外を感じる切り取り方をする。
忘れ難いのは、苔の研究をしている女性(リヨ・ゴン)が靴の中に何か入っていると言って、地面に座って靴を脱いでから履き直してから立ち上がる。その時に女は男に手を差し伸べて立ち上がるのを手伝ってもらう。フレームは立ち上がった彼女の顔を追わない。そうすると二人の足だけが映されるのだが、そこでフレーム外から女の「聞いて」と言う声が聞こえる。カットが変わり、雨が降っている。昔の映画ではこういうカットはあまり見られない。昔の映画はフレームの中に何が起こっているか?が重要だが、現代の映画はフレームの外を感じたりする。このカットは正にそういうカットで、重要なことは全てフレームの外で起こるのだ。ここにバス・ドヴォスの作家性が立ち現れている。
ラスト、女は伯母の店に行くと、女の元に男からスープが届いている。「彼の名前は?」と聞かれて、女はそういえば?という顔。そこでラストカット。本当に洒落ている。

この映画のメインビジュアルになっている女性のリヨ・ゴン。なんてことない感じなんだけど、なんか良いんです^^なんというか佇まいが「柔らかい」感じ。なんでも彼女は俳優であると同時に映画の編集者でもあるそうで、ワン・ビンの『青春』も彼女が編集したそうである。
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