【第96回アカデミー賞 国際長編映画賞モンゴル代表】
ラグワドォラム・プレブオチル監督の長編デビュー作。ヴェネツィア映画祭オリゾンテ部門に出品され、主人公役のテルゲル・ボルドエルデネが主演男優賞を受賞した。
手堅く丁寧につくられた秀作人間ドラマ。新人ならではのフレッシュさもありつつ、プロダクションの高さも窺わせる。
高校卒業を控えつつシャーマンとしても頼られる青年ゼ。彼が一人の少女と出会うことで自身を見つめ直す。青春ドラマとしてもよく出来ている。
モンゴル=草原というステレオタイプを崩しつつ、旧来のイメージと共存していこうとしている。勉強の出来るゼは都会に生きるのか、それともシャーマンとして生きるのか、その間で揺れていく。
長編デビュー作とは思えない、と思ったら製作は『ソウルに帰る』の会社、編集は『サウルの息子』の編集者という万全な製作体制らしい。そりゃプロダクションも高いわ。
完成度が高いし、役者陣のフレッシュな演技もすごくよかった。個人的にはゼの彼女になるマララ役の人がよかった。印象的な表情をする人だ。