ゆみモン

日本の熱い日々 謀殺・下山事件のゆみモンのレビュー・感想・評価

3.8
1981年作品。

1949年7月に、連合国による占領統治下の日本で起こった「下山事件」(下山定則国鉄総裁の変死事件)とその捜査・解明に当たった人々を描いたミステリ映画。
捜査時に活躍した朝日新聞の矢田喜美雄記者の著書『謀殺・下山事件』(1973年)を原作に、菊島隆三が脚色化。熊井啓が監督。

この作品が公開された1981年当時は、すでに大半の映画作品はカラーとなっていたが、本作は敢えてモノクロ作品として製作され、実際のモノクロ・ニュース映像を交えながら事件当時の雰囲気を醸し出している。

主人公の矢田記者(作品中では矢代と名を変えている)役の仲代達矢の演技が熱い。このほか脚色のため、事件関係者や旅館などの名前をいくつか変えてあるが、実際の人物が想起され生々しさをが感じられる。当時まだ若手だった役所広司も無名の記者役で出演している。下山定則総裁当人は記録映像部分に登場するが、劇中の役は数カット出ているだけで、俳優名はとくにクレジットされていない。それも謎めいた雰囲気である。

結局その真相は未だに謎のままで、いろいろ憶測はあるが、やっぱり謎は謎のまま。
だから、ラストがスッキリしないのはやむを得ない。そこで作り話のエンドストーリーを作らずに、謎のままで終わらせたことで実録ミステリーとなっているのだろう。