ビンさん

悪魔がはらわたでいけにえで私のビンさんのレビュー・感想・評価

1.5
そもそもホラー系、スプラッター系の作品は昔から好きなわけで、そういう意味ではどストライクな作品を撮ってらっしゃる宇賀那健一監督。

だが、過去作は『異物』と『Love Will Tear Us Apart』しか観てないのだが、どうもいずれも肌に合わなかった。
昨年の『Love〜』は途中までは良かったのだが、クライマックス以降のシフトぶりがどうも残念で・・・。

それはともかくとして、最新作の本作、予告編を観るかぎり、相当にゴアな内容のようで。
しかし、どこかで見たような映像と、最後のアレ。
今回はパロディ映画なのかな、でもパロディならばそこに監督のクリエイターとしての独創的なものも加味された、本編は予告編以上の何かを与えてくれのかな、と期待を込めて観に行った。

あまり深くは触れないが、映画はパロディというよりもコメディ色が強い作品になっていた。
ただし、映像はけっこうゴアなので、そこのギャップを楽しみましょう、という映画かと。

それはいいんだけど、監督はこういう作品ではたして満足しているのだろうか、という疑問だけが残った。

過去のホラー映画のタイトルを列挙した、本作のタイトルはともかく、そのビジュアルは『死霊のはらわた』のそれ。
パンフまで似せているので、相当に監督はお好きなんだろうな、とは思うけれど、正直なところ、ビジュアルにしろテイストにしろ、ただなぞっただけのように感じた。

サム・ライミにしろ、トビー・フーパーにしろ、「無」から「産みの苦しみ」を独自のセンスでもって作った結果、作品は後世に残るエポック・ムービーになり得たわけで、それを時間と費用をかけて、リスペクトだかパロディだか表現はともかく、なぞっただけの作品からは何ら独創的なものは感じられなかったのが、非常に残念だった。
先人の偉業の上に、胡座をかいただけの、じつにお粗末な作品だったのだ。

たとえば本作は、監督の息抜き感覚、お遊び感覚で作ったというならば、映画舐めてんのか? といいたい。

こんなことは馬耳東風だろうけれど、作りたくとも作れないクリエイターが多い中で、費用もスタッフにも恵まれた状況で、あまりにお粗末な本作のようなシロモノを観せられると、本当に悲しくなるし怒りすらおぼえてしまう。

宇賀那監督の実力というのはそれまでなのか、と。
実力でいえば、本作においてはロイド・カウフマンを担ぎ上げた、という部分のみかと。

本作を作った経緯について、詳細はわからないけれど、最初に戻るがこんな内容で監督は満足しているのだろうか・・・?

本作で一つ評価できるとするならば、予告編で大体の手の内を明かしていること。
数年前、独創的なホラー映画だと思って観に行ったらば、とある作品の、それもその映画とさほど年数が違わぬ映画から、シチュエーション丸写しな内容に口あんぐりな、まるで詐欺のような状態だったことに比べれば、本作は素直だったな、と。
ビンさん

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