こいまえ

異人たちのこいまえのレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
3.3
昔々「大林監督やり過ぎ!」と突っ込んだ「異人たちとの夏」のリメイク。原題は「All of Us Strangers(私たちはみんな異人)」。
日本版での主人公は人間だったが、今回はその設定もあやふやに見えるほど主人公は徹底的に孤独だ。

亡くなったはずの両親と出会い心の傷を癒していく主人公・・・これは監督自らを癒すセラピー的な映画なのだと思う。二人が星となって夜空に消えるラストシーンはフランキーゴーズトゥハリウッド「The Power of Love」のMV冒頭と同じだというし。監督のごく個人的な映画であるなら、主人公が現実ではなく「異人(異界の人)」を選ぶラストにも納得だ。

「(wth) Strangers 」から「All of Us Strangers」への改題を思うと、監督にとってゲイであることは異人であることなのだろう。この世界では誰もが大なり小なり異人ではあるけれど、映画から漂う寂しさに胸がつまる。

演者4人は全員適役で素晴らしい。
特にポールメスカルが出色。あの切なさは一体どこから?


※ちょっと修正しました(24.5.21)
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