May

異人たちのMayのネタバレレビュー・内容・結末

異人たち(2023年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

本作は朧げな街の景色から最低限のセリフで淡々と始まっていくが、アダムが田舎を訪れそこで出会った二人の人間の違和感に作品の核へとぐっと近づく。
アダムは12歳で亡くした両親と大人になった現在の姿のまま会話をするのだ。
当時のままでなく、つまり両親が知っている範疇を超えて、3人は会話を続ける。これは脚本家のアダムがつくり出した台詞なのかといろいろと考えが及ぶけれど、そのフィクションとリアルがかなり複雑に混じっているから、不思議な佇まいをしたシーンになっている。特に光の扱い方がかなり効いている印象だ。
そして、その両親との時間とは対照的なハリーとのフィジカルな関係性が終盤に重なってくる。これが今作のすごいところだと感じた。おそらくハリーはすでに亡くなっていて、だからこそアダムの両親は認識できた、ということなのだろう。

結局はずっと孤独であることに寂しくはなるが、喪失感との関わり方を見事に描いている傑作だと思った。
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