Mayさんの映画レビュー・感想・評価

May

May

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マッドマックス:フュリオサ(2024年製作の映画)

4.5

前作があまりにもよかったため少し不安だったが、めちゃくちゃおもしろかった。もうずっとかっこいい。
あのセリフ量の少なさと画の良さで持続し続ける凄まじさに脱帽。
長引かせすぎだろ、と内心思ってしまったあ
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碁盤斬り(2024年製作の映画)

4.0

俳優陣が素晴らしい。あの確固たる信念と予断を許さない隙のなさがあった草彅剛が特に凄い。小泉今日子演じる女将もすごくよかった。

ザ・レイド GOKUDO(2013年製作の映画)

4.5

綺麗じゃないけど泥臭い感じのアクションの連続で最高。頭蓋にめり込んだバットがくっついたままとか、特にいい!

関心領域(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

ここに描かれているのは、至って平凡な家族の風景である。子育て、晩餐や洗濯といった家事や、夫の昇進がどうとか転勤するなら早く言ってよといった会話。一見ありふれた日常、そこを徹底的に映しているからこそ、ず>>続きを読む

ミッシング(2024年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

何度もスクリーンから目を背けたくなるほどに強烈なシーンが連続する。でも、目は離せなかった。しかもとてつもない集中力を維持し続けて、観終わった時には走りきったような感覚すらある。
これはこれまでの吉田作
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

教室という社会と、職員室という社会は違っているようで少し似ている。
そんな学校という空間の異質さを巧みに利用した出来事が次々に乱発される。
一見コンパクトな作品だがかなり凝縮された100分間だった。シ
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異人たち(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

本作は朧げな街の景色から最低限のセリフで淡々と始まっていくが、アダムが田舎を訪れそこで出会った二人の人間の違和感に作品の核へとぐっと近づく。
アダムは12歳で亡くした両親と大人になった現在の姿のまま会
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辰巳(2023年製作の映画)

4.0

出てくる人間の顔が全員いい。
もうそれだけでこの鬱蒼した世界に引き込まれる。
緩急も丁寧につくられていて、とても見やすい作品だった。

思っていたよりまともな人間が多かったので、物足りなさも多少あった
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悪は存在しない(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

繊細なのにとても堂々としている。ずっととてつもない深さを持った時間が流れていて、いつのまにか映画が終わっていた。
それは膨大な自然を背景に、ただ営みが存在していることを精緻に描いているからだろうし、そ
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

4.3

素晴らしい衣装、音楽。
明暗の使い分け、そしてそれぞれの嘔吐。

アイアンクロー(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

膨大な質量を持った肉体が躍動していて、そこに詰まっているのは表立っている希望に思えた。期待に応えることの過酷さと、それでも答えた時の充実感が確かにあることの残酷さを強く感じる。強靭なもののそばにある脆>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

とてもささやかな映画だ。スクリーンで描かれてる膨大な時間の厚みに終始圧倒された。

子供の頃だけを知っていて、大人になってから会うとその人は別人に思える。人間としては1人であっても会わなかった時間の大
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

今作はオッペンハイマーという歴史上の偉人を扱うから、今までの作品群とはけっこう違った雰囲気なのかもなと構えていたが、全然通常運転だった。もう冒頭から、現在と過去、つまり原爆が落とした後なのか、まだつく>>続きを読む

海がきこえる(1993年製作の映画)

4.1

みんなおせっかいだし、思ったことをすぐに口にするし…でも10代ってこんな感じだったかもなと思った。

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

素晴らしかった。
それぞれの人間が確かにつながっていくことを、この映画は丁寧に描いていてすごく感動した。
何気なく言ったことがその人にとっては大きなことであったりするし、その人が抱えているものについて
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.5

圧倒的なおもしろさだった。
ダイナミックなスケールの映像に、ハンス・ジマーの音響を全身で浴び続けることができる贅沢な映像体験。まさに細胞レベルで体感ができたという実感がそこにある。映画館で観る素晴らし
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アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

マジョリティーがマイノリティをフックにすること。「売れる」ということはマジョリティーに評価をされることであるから、それは至極当たり前なことなのだ。本作はそんな蔓延った現在のエンターテイメントの姿をとて>>続きを読む

梟ーフクロウー(2022年製作の映画)

4.4

惹き込まれる時代設定にのっかるストーリーの質の高さ。まさに理想的な時代物サスペンスだ。
盲目な主人公が天性の才能で成り上がっていく少年漫画的な展開からの、壮大な事件に巻き込まれていく展開。この王道まっ
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

4.4

約2時間半、全く無駄がなく繰り広げられる会話。まさに裁判のシーンでも頻りに論点にされた主観と客観が、目まぐるしく入れ替わり立ち替わりする抜群のおもしろさ。
言語の違いや偏見、生活と作品、知っていること
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

“おそれている”とまさにタイトルにあるように、終始防戦一方だ。
母に会いに行きたいのに寝坊して、鍵も無くして…と冒頭まではまだ現実的で、笑える箇所も多かった。しかし、事故に遭ってからは、セリフと周囲の
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ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

何がDumb(愚か)なのかすぐにはわからないほど株式投資に疎い私でも、沸き起こった奇妙な連帯にすごく感動した。
人口の半数が預貯金しているこの国に住んでいるからか、老若男女が株の話をしている作中の世界
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犬人間(2022年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

勝手に想像していたものと傾向が違くて、かなりおもしろかった。
犬人間というのは特殊な設定では決してなく、あくまでこれは着ぐるみであることを冒頭で示す。つまり、なぜ犬人間になってしまったのかというより、
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コット、はじまりの夏(2022年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

田舎の大家族で暮らすコットは、主張することがあまりなく、おとなしい性格だ。
飲んだくれの父親、無関心な兄弟。そんな深刻な家庭環境の中に彼女は埋もれてしまっていて、追い詰められてしまった時によく走り出す
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

俳優、衣装、美術、脚本といった作品を構成する一つ一つがとても強烈なのにそれぞれが絶妙なバランスのもとに爆発している。
独特なカメラワークによる画づくりの徹底さには唸ってしまって、全く飽きない。特にラン
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VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

スタンダードサイズの一つの画が生き物のように伸びていき、二つの画に分裂する。そして、この二つの画が老夫婦の“死に様”をむき出しに描き出す本作は、単なる手法の提示に留まらないものですごくよかった。
ふだ
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ショーイング・アップ(2022年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

創作は生活の上に成立しているということを真摯に描いていて素晴らしかった。けっして創作論を押し付けるようなことではなく、何かをつくっている人間の、些細な物語だ。

お湯が出ない、嫌いな鳩の世話をしなきゃ
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笑いのカイブツ(2023年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

“売れる”“何者かになる”ということは、世間からの評価がなければ成立しない価値観で、人間関係あってのこのメカニズムを受け入れる姿勢が必要になってくる。つまり、やりたいことに少しだけの社会性を持ち合わせ>>続きを読む

雪山の絆(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

人間がいるべきではないアンデスの山奥は死んだほうが楽だとさえ思えてしまうほどの過酷さ。そんな中でも事態は好転するが、山は最も簡単に人間を叩き落とす。その絶望の繰り返しを本作は確実に描き出していて、映画>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

死者との交信という割とありきたりな設定だが、若い男女のノリや思春期の格好づけが取り返しのつかないことになっていく流れや、亡き母の真相、父親との確執などの絡ませ方が秀逸で、全体的にまとまりのある作品だっ>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

富裕層に寄生する系のサイコスリラーはいくつか思いつくが、『saltburn』は群を抜いておもしろかった。
カラーリング(特に赤が印象的)や奥行き、角度など徹底されにされた画づくりの潔癖さが滲み出ていて
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

まだ薄暗く、街が動き出していない早朝。ほうきの掃く音で起床し、至って決まった手順で支度をし、仕事に向かう。仕事はトイレの清掃員。車でトイレをあちこちと周り、仕事を終えたら銭湯、居酒屋、読書。そして、眠>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

ある森の中で犬が骨を見つけた。しかもそれは人骨であり、1人ではなく2人並んで仰向けのまま死んでいることがわかる。
そんな冒頭で始まる本作は、西部開拓時代を生きた男性2人のひとときの友情を穏やかに映し出
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枯れ葉(2023年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

廃棄商品を勝手にあげてはもっていったことがバレて職を無くす女性。
タバコをやたら吸って、紅茶にも酒を入れてしまうほどのアル中の男性。
互いに独身で、もうそこまで若くはない。
そんな2人が些細なきっかけ
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王国(あるいはその家について)(2018年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

一体何を観ているのだろう、と思いながら、そしてそれを維持したまま映画が終わってしまう。そんな稀有な鑑賞体験だった。

本作は、ある家族の子供を1人の他人が殺してしまったというなかなかに酷な設定を基盤に
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

多様な人間模様が複雑に絡んでいる上質なドラマにこの圧倒的な世界観。終始釘付けにならざるを得ない傑作だった。特にロングショットになったときの壮大さにはめちゃくちゃに惹かれた。平均的な顔が並んで、目玉だけ>>続きを読む