いち麦

異人たちのいち麦のレビュー・感想・評価

異人たち(2023年製作の映画)
5.0
山田太一の原作小説は未読。あくまで先に見ていた映画「異人たちとの夏」(大林宣彦,1988)との比較だが、ゲイの男性2人に置き換えられたことで人間ドラマとして優れた翻案になっている。「異人たちとの夏」を見て感じていた不満がほぼ全て解消されていて嬉しくなった。
アダムが両親と交わす対話は、30年前を振り返り大人になった今どうしても語らなければならない核心を突いて深められ、ハリーとの対話もゲイ同士らしい親密感が高まり、潤いと温もりがよく伝わってきた。変なホラー演出もなくなりラストは大幅に変わっていたが、文筆家(脚本家)アダムの着地としてはごく自然に受け入れられるものだった。
個人的にはポール・メスカルのヒゲ面はちょっと鬱陶しく、もっと若いメイクでアンドリュー・スコットとの年齢差を出して欲しかった気もする。

字幕翻訳は牧野琴子氏。
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