ペンギン侍

アメリカン・フィクションのペンギン侍のレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.8
すごく面白かった!のだけど、きっとアメリカに住んでいる黒人/白人だったらもっと笑えただろうなというジョークもあるんだろうなという印象。

白人が望む“黒人らしい”はちゃめちゃな行動や言動が大袈裟に描かれる一方で、主人公の黒人やその家族の生活は、そんなこと起こらないし極めておだやか。「ガッデム!」とか言い出したときはめっちゃ笑っちゃったけど、それよりも映画そのものの構造的な解釈が見事だなと思った。

アジア人に当たりが強い白人(ラストシーン)とかも意図的に描かれていて、黒人と白人の差別が仮になくなったとしても、次はアジア人差別…といったように差別は続いていくんだろう。「連鎖」とかではなく、各地で起こっているというイメージ。

差別を徹底的にコメディとして描いた作品は、笑っていいのかたまにわからなくなる。私がアジア人だからか?そして、アジア人だからなのか、この映画についてあーだこーだ言っていいものなのか少し悩む。人種の問題はどうしても当事者でないと、という意識が出てきてしまう。
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