回想シーンでご飯3杯いける

忘れられし愛の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

忘れられし愛(2023年製作の映画)
4.5
サムネイルが悪いのか、邦題が悪いのか、Netflixで完全に埋もれてしまっているけど、これはかなりの傑作ではないだろうか。

原作はポーランドで有名な小説「Znachor」で「ペテン師」という意味を持つ。暴漢に襲われ記憶喪失になった外科医師が、自分の前職の記憶も無いまま田舎町で無許可の医者として天才的な能力を発揮。住民の命を救いながら多大な信頼を得ていく姿を描く、140分に及ぶ壮大なヒューマン・ドラマである。

記憶喪失という映画的な事件を取り入れながら医療倫理を問い、同時に父と娘の再会のドラマとして、恐らくは19世紀頃と思われる階級社会の問題点も描く。手塚治虫による医療サスペンス漫画や、「ショーシャンクの空に」的な人生讃歌も彷彿とさせ、打ち出しひとつで名作として語られそうな雰囲気が漂う。

娘や、その恋人、患者、その家族等、脇を固めるキャストも魅力的で、作品が作り出す世界にどっぷり浸る事が出来た。

※後から調べて分かった事ですが、原作の小説は、1937年と1981年にも映画化されているようです。