オックスフォードに入学したオリヴァーだが、裕福な同級生たちに全く相手にされず現実を突きつけられる。そんな中、ひときわ目立つ存在のフィリックスを助けたことで気に入られ、彼の屋敷ソルトバーンへ招待される。
『プロミシング・ヤング・ウーマン』で数々の賞を受賞したエメラルド・フェネル監督作品。
描く内容はプロミシング〜とは全く違うものの、本作もすごい衝撃を受けてさすがの一言。
映像も音楽も良かったしすごく面白かったけど、覚悟して観た方が良いかもしれないです。
〜以下ネタバレ含む〜
正直とっても気持ち悪い(笑)
オドオドして仲間に入れてもらえない可哀想なオリヴァーと、みんなの中心でまさに"光"のフィリックス。そんな2人の友情とか恋愛の話かと思いきや、愛憎が入り混じったとんでも展開が待ち受けていてすごかった。
前情報なく観たので、途中からどんどん雲行きが怪しくなっていって予想外の方向に進んでいってびっくり。坂道を転がり落ちるように後半畳み掛ける不幸の連続と、明かされる裏側が衝撃すぎ!
フィリックスを愛していたのも憎んでいたのも、どちらも本当なんだと思う。それ故に全てを手に入れたくなって、さらにそれを超えてフィリックスになりたくなってしまったんだろうか…。
あのラスト、オリヴァーの気持ちは理解できないものの、最初から最後までオリヴァーの計画通りだったのか〜と思ったら、個人的には後味は悪くなかったかな。
ただ、この作品がどの目線で何を伝えたかったのかはイマイチ分からなかった。上流階級を皮肉るならもうちょっと悪役に描いた方が良かった気がする。
監督自身も有名なジュエリーデザイナーの娘でオックスフォードを出ているそうなので、本作での上流階級の解像度の高さは実体験なんだなと思った。
だからこそ、もしかしたら少し身内に甘いというか、上流階級の描き方が緩くなったのかな〜なんて。
役者さんたちがみんな秀逸で素晴らしかった!若手注目株のバリー・コーガンもジェイコブ・エロルディもどちらもハマり役で、とくにバリーはオリヴァーの二面性を完璧に表現してた。
キャリー・マリガンは少ししか出なかったけど印象的。
イギリスの階級制度はいまだに根強いんですよ…特にイートンとかオックスフォードとかああいう学校は、先祖代々上流階級の家の子たちが行く所だから。
もちろん上流階級出身だからって映画『ライオット・クラブ』みたいなヤバい人たちばかりじゃないけど、明らかに格差は感じられると思う。
イギリスのお屋敷は本当に素敵。建物自体が芸術だし、歴史そのものって感じがするから好き。
イギリスではマナーハウスの居住部分以外の一部を解放して、お金払えば中を見学できたりするのでぜひ行ってほしい。本作でも出てきた生垣の迷路を体験したい方は、ハンプトンコート宮殿がオススメ!
段々とおかしくなっていく空気感とソルトバーンがじわじわ侵食されていく様子が気味悪くて、別世界だけどリアルで面白かったです。