ぶみ

レザボア・ドッグス デジタルリマスター版のぶみのレビュー・感想・評価

4.0
現代の映画は「ここ」から、始まった。

クエンティン・タランティーノ監督、脚本、出演、ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロス、マイケル・マドセン、クリス・ペン、スティーヴ・ブシェミ、ローレンス・ティアニー、エディ・バンカー等の共演による犯罪ドラマ。
宝石強盗に失敗した男たちの姿を描く。
1992年公開の本作品が、30年以上の時を経てデジタルリマスター版として再上映。
何度となく観ている私としては、あの伝説のオープニングだけでもスクリーンで体感したいと思い、急遽予定を変更して本作品をチョイスしたところ、結構な観客の多さに驚くばかり。
詳しい感想は、オリジナル版での投稿を参照して頂くこととして、何はともあれ、胡散臭い男たちがレストランでマドンナの「ライク・ア・ヴァージン」の歌詞について語り合ったかと思うと、ジョージ・ベイカーの「リトル・グリーン・バッグ」とともにタイトルバックが流れるオープニングは、何度観ても飽きないものであり、映画史上に燦然と輝くと言っても過言ではない。
あらためて観ると、容赦ないバイオレンスが売りであるように確かに血の量は半端ないものの、肝心のシーンは見せないし、そもそも普通なら物語の肝となるはずの宝飾店襲撃シーンも描かれず、時間軸を交錯させた回想シーンで観客に何が起こったのかを想像させる脚本の上手さには舌を巻くばかり。
また、静と動の使い分けも素晴らしく、緊張感と緩さの対比により観客を飽きさせない仕上がりとなっているし、耳に話しかけるシーンが、ホラー的な怖さとシュールな笑いが同居しており、私的にはツボ。
まあ、考えてみれば、普段私たちがしている会話の殆どがどうでもいいと言えばどうでもいい内容なので、その点からすると、タランティーノ作品は日常のリアリティが溢れていると言えるものであり、無駄なシーンはないと感じた次第。
30年経った今でも、その魅力は褪せることなく、オープニングを観るだけでもお金を払う価値があるとともに、ラストのホワイトの早技と、キレ味鋭い終わり方が爽快感抜群な快作。

逮捕するわよ。
ぶみ

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