Haruna

52ヘルツのクジラたちのHarunaのレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.5
はああ、愛おしい苦しい悔しい悲しい、色んな感情が湧き上がってきた。
涙が止まらず、たくさん泣いた、、。

感じたことをつらつらと。
最近、作品を読んで涙する時は死に直面したシーンで自分の経験と重ね合わせて涙が出てくることが大半だったけど、今回はそうではなくて登場人物のやるせなさや境遇に感情移入して涙が出てきた。
人間が自分と異質のものに対峙した時に、排除しようとしたり、障害としてカテゴライズしようとしたり、或いは歩み寄るように見せかけて本人が望んでいない開示をしたり、世間から隠そうとしたりしてしまう、人の弱さ・不安さ、、そしてそれをされる側、両方の感情を考えて苦しくなった。

ヤングケアラー、虐待、LGBTQ等色んな社会トピックが織り込まれてだけど、
作品のメッセージが「そういう人たちの存在もみんなで受け入れようよ!」的なものではなくて、作品内の言葉を借りると「魂の番」として誰か1人、理解し合える・思い会える・必要とし合える存在がいれば良いという内容に帰結してたのが良かった。まさに「正欲」と同じ、、、。本人たちは、自分たちに対して新たな定義を決めてもらうことも、大々的に社会で取り上げてもらうことも望んでなくて、ただただ生きていたい、それだけ。

作品に感情移入しすぎて、演者への感想がなかなか出てこないけど、これだけ感情移入できるのは演者が素晴らしいから。
特に、主演の杉咲花ちゃん、、彼女の言葉をそのまま借りると、まさに作品の中では杉咲花は透明で、登場人物の彼女しかいなかった。
事前に読んだ記事で「こういうトピックが、感動のために”消費”されていないかは気をつけて演じている」と彼女が言っているのを読んで、彼女は、台本を渡されてただ演じる受け身の姿勢ではなくて、作品と向き合って、作品のメッセージ性に責任を持って役の人生を背負ってるからこそ、透明に見えるのかな。
本当に素晴らしい女優さん。大好き。
Haruna

Haruna