みや

女優は泣かないのみやのレビュー・感想・評価

女優は泣かない(2023年製作の映画)
4.5
2月に劇場にて鑑賞の過去作レビュー。

ストーリーは難しくなく、かつ、余計な説明なしにテンポも良い。蓮佛美沙子、伊藤万理華のやり取りには、コミカルさもあって、楽しく前半が進む。そのうちに、ちょっとのボタンの掛け違いが重なって、決定的な亀裂につながる…。

そんな展開に合わせた蓮佛美沙子、伊藤万理華の演技はもちろん期待通りだったが、自分は三倉茉奈の演技に驚いた。
NHKの「ふたりっ子」のマナが…なんて、いつまでも思っているのもなんだが、観ているだけでキュッと胃を掴まれるような恐怖感漂う佇まいが、圧倒的な存在感を放っていた。
夫とうまくいかず、父親は余命いくばくもない。けれど、それを支えてくれる相手もいない。そんな彼女を取り巻く背景が、彼女が画面に存在するだけで見えてきた。
ギリギリなのは、彼女だけではない。もちろん、蓮佛美沙子や伊藤万理華もそれぞれ崖っぷちで後がない。だからこそ、それを逃れようとあがくのだが、それが逆にマイナスの結果につながる。
こうしたことは、自分自身にも身に覚えがあるし、居たたまれなさに共感を覚えた。

後半の展開はベタかとも思うが、それに乗っかる気持ちよさも充分に味わえる。

映像上のことで言うと、時折インサートされるハンディカメラがとても効果的だったが、エンドロールのクレジットを見て納得した。

あと、あのレシピで焼き飯作ってみたくなった。
みや

みや