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悪は存在しないのNoveのレビュー・感想・評価

悪は存在しない(2023年製作の映画)
4.2
自然と生きる。いや人間も自然の一部であって、全ては連鎖している。
都会からみた安易な地方創生とか、地域住民のためとか、表面的な書類上の項目をクリアすれば済む問題ではない。
そこには、地元で生きていくために守ってきた知恵がある。
水の流れは絶えずして、常に同じ水にあらず。
上から下に流れる水の如く、物語はある地点に人々を吸い寄せていく。
コロナ禍によって、それぞれの生き方が再考されるずっと以前から、森に住む人たちは、自然と共に生きてきた。
また、都会で暮らす人間にも、悩みはある。
非常に綿密な構成と、計り知れない自然の力を描こうとした時に、必然と偶然が織りなす奇跡へとたどり着く。
これをファンタジーと呼ぶのか、SFと呼ぶのか、サスペンスと呼ぶのか、社会派と理解するのかは、それまで生きていた人の感性に依存する。
ひとつ確かなのは、濱口監督がまた、新たな挑戦を挑んで来たということだ。
観客は、これをどう受けとめるか。
1ラウンドは、完全にノックアウトさせられた。
『GIFT』の音楽と映像の体験では、どんな奇跡が待っていることであろうか。
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