えくそしす島

エクソシスト 信じる者のえくそしす島のレビュー・感想・評価

エクソシスト 信じる者(2023年製作の映画)
3.1
【信じられぬ者】

来ちゃった…。

オリジナルの正統な続編と銘打った新たな「エクソシスト」が来ちゃったの。でも心配なの。評判があまり良くないの。怖いの。観るのが怖いの。

監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
脚本:ピーター・サットラー、デヴィッド・ゴードン・グリーン

あらすじ
13年前にハイチの大地震を経験したヴィクターは1人娘のアンジェラと暮らしていた。ある日、友人と一緒に森へ入った後に行方が分からなくなってしまう。

“悪魔祓い"

リアリティを持たせようとすると少しの嘘臭さを感じただけで台無しになる題材。故に、類似作の多くは敢えてエンタメよりに描かれる事がほとんど。だって楽だもの。

そりゃそーだ

実際に「悪魔はいるよ」と真顔で人から言われたとしても「あ、はい」と踵を返してその方と距離を置くに決まっている。オカルト大好きな私でもそうする。皆が当たり前にそうする。

んなこたあーわかっている!!

そんな中、"1%の可能性“を描き、もしあるとするならばを描いたのがオリジナルの「エクソシスト」。そんな全人類が待ち望み、その名を引き継いだのが今作。

はい、拍手ぱちぱち!!

古来より人間と共に語られてきた悪魔という概念。それは歴史そのもの。聖職者とは何か。信仰とは。悪魔とは。深く語られなくてもオリジナルにはありありとその背景や歴史が浮かび上がっていた。

しかし、今作は…。

オリジナルでは、神への疑念に苦悩していた神父が、悪魔との対峙をキッカケに信仰を取り戻していった。それに対し、似ても似つかない「信じる者」を推したペラッペラの人間ドラマ。

なぜこうも、言葉(セリフ)一つ取っても重みが違うのか。オリジナルにあったシーンをオマージュしてみても、中身が薄いため真に迫るどころか遠ざかる。

カトリックに限らず、世界中の凡ゆる宗教や宗派、風習、慣習、慣例でも行われ続けている悪魔祓い。それらをみても“悪魔の定義"は一つじゃない。

言いたい事は分かる。
やりたいことも、見せたいことも。

それを踏まえた上でも、今作は宗教観の多様性(宗教多元主義)に引き摺られ過ぎて、纏めきれないまま迷走状態に突入。結果、こだわりもテーマも、悪い意味で“今の時代に"合わせたように思えてしまった。

その象徴かのような
 「白人と黒人の二人の少女」

“悪魔祓いごっこ"ではなく
もう一度、原点に立ち返った“エクソシスト"が観たかった。人間が持つ尊厳そのものとぶつかり合うドラマが。人はなぜ悪魔を恐れるのかを今一度立ち返って欲しかった。

続編が面白くなる作品もあるけれど、同監督が手掛けたリブート版「ハロウィン シリーズ」を振り返ると、私的には最初がピークだった。もう嫌な予感しかしない。

嫌だ。嫌だ。嫌だ。