さくらんぼ

市子のさくらんぼのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
3.8
川辺市子(杉咲 花)は、3年間一緒に暮らしてきた恋人の長谷川義則(若葉竜也)からプロポーズを受けた翌日に、突然失踪。捜索を続けるうちに長谷川は、彼女が生きてきた壮絶な過去と真実を知ることになる。 

日本アカデミー賞で素敵な着物姿を披露してくれた杉咲花ちゃん。
若手の女優さんの中で群を抜いている演技力。2時間の中に市子の人生がぎゅと詰まっていて、可哀想と思ったりでも他の人も巻き込んでしまっているなと思ったり見ているこちらも感情を揺さぶられた。

無国籍、貧困、なりすまし、ヤングケアラーといろんな社会問題を描いていた作品。市子はがんじがらめになっていた自分を解き放ったある時点から凄まじい勢いで自分のことだけを考えて生きていた。生きることに貪欲な強い女性という印象を受けた。でも彼女はそうするしかなかったとも言える。

唯一の救いは長谷川の存在で、彼と暮らしは本当に幸せそうだった。

意味深なラスト。
彼女は自分を生きるためにまた同じようなことを繰り返していくのかもしれないと思ったら怖くなった。
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