スギザキ

市子のスギザキのレビュー・感想・評価

市子(2023年製作の映画)
4.4
2023年終盤、思わぬ傑作に出会った。
「市子」、この映画こそ彼女の人生、生き様だ。

長谷川にプロポーズをされた翌日に突然消えた市子、長谷川は彼女を探し続けるが、
その中で彼女の壮絶な過去を知ることに。

市子の過去、人生を覗き見した後ではプロポーズシーンや2人の出会いのシーンの見え方が変わる、号泣する。

ふわっとした掴みどころのない、自己を表現しない市子の人物像が後半にかけて大きく崩される。
ふわっと生きていたわけではない。
誰よりも貪欲にがむしゃらに生きて、ただ普通の幸せを手に入れたかった。

そんな幸せをも過去は逃さない、市子という存在を抹消するかの如し。

彼女の存在は無かったことにならない。
この125分彼女は生きていた。
映画のラストからも想像が膨らむ。
彼女は今日もどこかで生きているのか。
関西弁で喋り、「ただいま」と微笑んでいるか。
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