ウサミ

ジョー・ブラックをよろしくのウサミのレビュー・感想・評価

4.2
静謐なラブストーリーであり、人生讃歌であります。
僕の大好きな映画の『セント・オブ・ウーマン』のマーティンブレスト監督作品で、長尺ながらそれを感じさせない魅力的なシーンとセリフで彩られた美しい映画でした。
しかし、観終わった直後の感想としては、何か泥臭さというか、「たぎる」モノに欠けたかな、と。
とはいえ、えもいわれぬほどに「感情がすれ違う切なさ」を描いた作品であり、丁寧なカットによりシットリと観客の感情を満たすとても繊細な映画として、素晴らしい作品だと感じました。(本国での評価は今ひとつだったらしいですが)

非常に落ち着きがあり、エレガントな物語であり、キャラクターの機微を丁寧に描いております。
シーンひとつひとつを丁寧に描くゆえに長くなっている映画なので、180分の長さを感じることはなく、むしろ、「物足りなさ」を感じるほどです。振り返ってみて、何を描くのにこんな3時間もかかった?

愛を説くシーンは尊いが、やや言葉っぽくていまいち感情にぶつかる感覚は薄かったです。ここらへんがハマる人とハマらない人の差なのかも?
個人的には、無垢な存在との邂逅により、自身の人生と向き合う、みたいな流れが大好きなので、とても楽しめました。
「愛」については、ややピンぼけな印象。老人と人生、と、若い男女の恋愛、という二軸で進むが、それゆえに両方にやや重たさが無くなり、ライトな映画になってしまったように思えました。
もう少し焦点を絞り、無垢な存在と老人のドラマとして走り切っても良かったのかな。というか、そちらの『ジョーブラックをよろしく』を観てみたかったです。
ウサミ

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