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マシュー・ボーン IN CINEMA/眠れる森の美女のanemoneのレビュー・感想・評価

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世にも不可思議、愛とユーモアに満ち溢れた、マシュー・ボーンの世界

コンテンポラリーと古典の融合が、斬新で楽しい。男性ダンサーや、悪役の活躍も多く見られる。個人的にはプロローグのカラボスの手下と、顔のないオーロラの死の幻想の踊りが好き。音楽の最高潮で、燃え盛る火のように舞い上がるオーロラ

妖精たちの、奇抜なメイクとアヴァンギャルドでモダンな衣装が目を引く。格子から覗く巨大な月とスモークに映る影が甘美
それぞれが自由に舞うコンテンポラリーの舞が可愛らしい。
リラの精が男性(ライラック伯爵)なのも珍しいし、パリス・フィッツパトリック、本脚が長くて美しい…。優美で貴公子

ローズ・アダージョ、国王や妃も踊ってくれるのが嬉しい。庭園で戯れるオーロラとレオや、国王夫妻の仲睦まじい姿は、本当に愛に満ち溢れている。

第2幕の、眠れる城の木々の間で踊るキャンドルみたいな従者たちや、急展開で現れる現代っ子たち
レオとオーロラの、愛らしいパドドゥも美しいけれど、カラボスの息子との妖艶なパドドゥがとても良い。
糸車ではなく、黒薔薇の棘で眠りに落ちるのも、ロマンティック。

第3幕で、王子のキスではなくカラボスの息子の"悪のキス"で目覚めてしまったオーロラの、音楽はそのままにダークウエディングに堕ちて行く様が素晴らしい。
そして最後の衝撃ベッドシーン、からのリアルベビードール誕生(しかも空を飛ぶ)

国や文化の繁栄では無く、家族の、"愛“の繁栄を描いた作品
生々しく、あたたかい愛と血を、踊りで、レオとオーロラの戯れで表現したんだろうな。マシューらしくて、愛おしい。
coccoの、眠れる森の王子様聴きたくなった。


〜衣装語り〜
善が白、悪が黒と分かりやすいカラーリング
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