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戦慄怪奇ワールド コワすぎ!のlsloveu3のレビュー・感想・評価

3.2
さらばすべてのコワすぎシリーズ。

タイムスリップをする瞬間の映像を捉えたと本作で工藤は興奮していたが、我々は『FILE04トイレの花子さん』で既に工藤がタイムスリップを経験している事を知っている。

別次元の工藤だ、と言えば整合はとれるが、それはただの焼き回しで、同じ面子で同じネタをやってるんじゃ、オリジナルを超える事はもうできない。
コワすぎシリーズは終わった。よかったよかった。これでおしまいでいいよ。

「オリジナルを超える事ができない」という葛藤は、白石晃士監督が抱えるコンプレックスでもある。
白石晃士監督の作風は『ありふれた事件』という、犯罪者にカメラを向けたフェイクドキュメントタッチの映画に影響を受けており、常々『ありふれた事件』を超えられないと公言している。(白石晃士先行で『ありふれた事件』を観た私からしたら、もう白石監督の方が超えてるよ?とも言いたくなるが)

「傑作を撮りたい」という願望は工藤ではなく白石監督の本心だ。

『オカルトの森へようこそ』もまた、自身の代表作『オカルト』を超える傑作を撮りたいという衝動に駆られる監督自身がその役を演じてカメラを回していた。
MCUユニバース、シャマランユニバースと同じように白石晃士ユニバースという言葉もファン達の間では定着しているが、言い方を変えればセルフパロディのるつぼに嵌っているとも言える。

ここでコワすぎに終止符を打つのは吉だ。

これからの傑作を生むために必要な幕だ。
シンエヴァでエヴァシリーズに終止符を打ったように、コワすぎシリーズもここで終わりにしよう。
ありがとう、すべてのコワすぎシリーズ。
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