パグちゃんかわわ

変な家のパグちゃんかわわのネタバレレビュー・内容・結末

変な家(2024年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

原作未読のため、ホラーじゃないのかな…❓と思って迷っていたのですが、劇場鑑賞された方々の感想を見ていると結構ホラーなのでは…ということで、クチコミ信じて映画館に駆け込んできました❗️
個人的には、ちょっとゾッとするサスペンス作品かなと思います。ホラー慣れした人には刺されても気付かないジャンプスケアですが、あまり普段ホラー観ない人には怖いと思います。かと言って完全にパリピおヤング向けのジャパンホラーというわけでもなく3つの建築物の間取り図の情報を複合してドラマを紐解く造りなので、ただ無心に観ているだけだと置いてけぼり食らいます。私も割とドラマの転のあたりまで無心で観ていたので、
頭の中で3枚の間取り図と登場人物の人間関係が合致するまでなんの感想も浮かんでこなかったです笑
気軽に楽しむ娯楽としては若干複雑、ホラーよりもヒトコワ要素が強いのでどの層に刺さるのか未知数ですが結末はすごく良いと思いました❗️ちゃんととある登場人物が作中で言ったセリフの意味をラストで回収している。
ホラーでもミステリーでも恋愛映画でも、1つでも何かしら意味がある筋をひとつ見つけたら私はそれで満足なので、変な家、楽しませて頂きました。

2枚の間取り図が、やがて一軒の家の間取りへと重なってゆくドラマも良かったです。確かにこれご都合すぎんか❓という展開も、最後の最後で全部引っくるめて回収されるので
やはりあの2軒の家の子供部屋はこの映画の中では「子を守るため」なんですよね。
なぜ古く意味もない、みんなそんなものあるわけないと分かっていながら狂った儀式から離れられないのか、それも子への愛に繋がっている故なので誰も終わりにできない、それが今作の最も怖いところだと思いました。
みんな怖いんですよ、自分の愛する我が子が不幸になるかもしれないと思うと。こんな現代にそんなことあるわけない、分かっていてもでも少しでも頭の片隅に不安がこびりついていてそれを祓えるかもしれない手段があれば、やってしまうんじゃないですかね。
それこそが片淵家に伝わる呪いであり、それは加害者が自ら作り出した罪悪感なんですよね。勝手に被害者を恐れて、勝手に自分たちで精神を擦り減らしてゆく。罪を受け継いでゆく重い話だと思いました。
高嶋政伸さんが演じる森垣清次さんの作中のセリフ「みんな怖いんだよ」が全ての答えになっているのではないかと思います。
過去に起こした凄惨な出来事の因縁から逃れるために始まった実際は無意味であろう儀式も、その儀式を取り仕切っていた本家が壊滅してすべてが焼け消えてしまったのにまた儀式の継続を示唆する母たちも、結局は怖いんです。「呪いなんてそんなことあるわけないと分かっていても」「こんなこと理解できない」でも「もし儀式を取りやめて、本当に我が子たちが不幸になったら?」「怖い」。
愛があるからこそ漫然とした恐怖に勝てない、最強の呪いだと思います。

映画シャイニングの有名なオマージュとかも盛り込まれていたり、ここふざけてるでしょ💢と思うところもありますが(手を叩いて笑顔になってました)、一族に絡まる呪いの連鎖についてはかなり細かく書かれていたので見どころがあって楽しかったです。清次さんの一言のセリフがなかったらこんがらがったまま終わるところでした、ちゃんと自分の中で物語が纏まったので観てよかったです。清次ありがとうございました‼️

あと劇場ポスターもちゃんと物語を意識した構成だったので映画観終えてみると納得でした、観る前は「ヒロインをポスターの真ん中に添えてるだけかいな〜」くらいの軽い気持ちだったのですがきちんと子供部屋に彼女は配置されていて、彼女は母にとっての「守るべき者」なんですよね。だから儀式は彼女たちを守るためにも終わることがないんでしょう…
なかなかに不穏なお話でした‼️
個人的に最初の間取り図1枚目の家の近所に住んでいるマダムが面白かったというか、演技力もさることながら「引っ越してきた若夫婦を常に観察して、他のご近所さんと情報シェアして把握してる」のが片淵一族と共通するものがあってニコニコしました。
歪んだ儀式や習慣は田舎や山奥でだけ起こるものではなく都会でも生まれるかもしれない、コミュニティはある日突然狂うという怖さと紙一重なのは良いですね。

そういえば終盤で主人公雨宮さんが片淵家の隠された間取りに足を踏み入れる時、柚希さんが彼の左手首を後ろから掴んだ(繋いだ)のちょっとびっくりしました、意味がない行動なのかもしれないけれど彼女もまた将来儀式から逃れられないという示唆とかだったら、好きです‼️
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