ひろぽん

ラブ&ポップのひろぽんのレビュー・感想・評価

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)
1.2
高校2年生の女子高生・裕美は、友人の知佐、奈緒、千恵子の4人で東京の渋谷に新しい水着を買うために出かけていた。そこで、たまたま見かけた店のショーウィンドウにある128,000円のアクセサリーを購入するため、友人たちとさまざまな方法で店の閉店前までにお金を入手しようと奮闘する物語。


女子高生が一目惚れをした高額のアクセサリーを、お店の閉店する前までに援助交際をして稼いで買おうとするお話。

スカートの中や自転車の下、プラレールなどの低いアングルからのカメラワークは変態的で気持ち悪い。何気ない食事のシーンでさえ変態的に見えてくる独特な映像で、唯一無二の斬新さがあってある意味面白い。

現在の作品では中々見れないであろうアングルが多く、酔いそうになるくらいグルグル回っているのが特徴的。

援助交際で登場する男たちも個性的で一人一人が本当に気持ち悪い。12万も出して女子高生4人それぞれににマスカットを口で噛ませ吐き出したものをコレクションする奴、清潔感のない唾吐きチック症のレンタルビデオ屋での愚行、ぬいぐるみに話しかける人形好きの情緒不安定な説教野郎、とそれぞれ別々の気持ち悪さがある。

お金で自分の欲を満たそうとする男たちが、男目線でも物凄く気持ち悪いなと感じる。

4人の女子高生が脱力していてとても自然な演技をしており、援助交際のリアルさがとても際立っていた。その中でも、若かりし頃の仲間由紀恵が1人だけ輝いていた。

10代の持つ好奇心による危うさや繊細さ、孤独感、思い立ったら考えるより真っ直ぐ行動に走ってしまう危険性などが上手に表現されている。

時代が変わっても援助交際が形を変え、パパ活や立ちんぼといった形で現在も社会問題になっていることを考えると、時代は変わっても人間性は何ら変わらないのかもしれない。むしろ、気軽に街中でJKに声掛けして一緒にご飯を食べに行くだけでお金を貰えるこの当時が凄いなと思った。

自らを危険に晒してしまう人が多いからこそ、大切な人のために自分を大事にしろっていう終盤のメッセージ性は普遍的なもので心に響くものがあった。

援助交際を通して一日色々な事があったのに、何気ない顔で温かい家族のもとへ帰る裕美の気持ちがよく分からなかった。登場人物の誰にも全く共感できない。

変態的な独特のカメラワークは斬新で良かったが、ストーリーは面白いものではなかったし、個人的にはあまり好きな作品ではなかった。
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