プリオ

ラブ&ポップのプリオのレビュー・感想・評価

ラブ&ポップ(1998年製作の映画)
4.0
『お前がこうやって裸になっている時、誰かが死ぬ程悲しい思いをしているんだぞ』

物語の主人公は、「何かが足りない」と思っている孤独な女子高生だ。

彼女は周りの友達には欲しいものがあることに、寂しさを覚えると同時に焦ってしまう。

そこで彼女は、指輪とのつながりに価値を見出し、購入資金のために初めて援交を試みる。


映画は、援交の危険性を思い知る内容になっていて、自分の存在価値を大切にしようというポジティブなメッセージを受け取った。

自分が何ももっていないことに対する「虚無感」を埋めるため、欲しいものを作り出し、お金を稼ぐために援交する。

それはなんとも危くも感じるが、でも同時に、尊くて、ある意味かけがえのない瞬間にも思えてしまうのは、この映画の魔力だろうか・・・。

青春映画としてかなり攻めた内容だと思うけど、当時の渋谷の映像といい、かなり楽しめました。

でも、女子高生の手や足を過剰に映し出したり、カメラアングルもパンツを下から覗くものだったり、庵野監督の「キモち悪い」部分が最高潮に出ている作品でもあるので、多少注意が必要。

いや〜な毒がふんだんに盛り込まれてます。

女子高生に群がる男たちも、不気味でキモいやつばかりだった。

ある男が女子高生が吐き出したマスカットに、12万という大金を払う場面がある。

それは暴力による肉体的痛みは伴わないが、その事実は若くて無知な彼女たちの倫理観をぶち壊すものであり、精神的痛みを伴うものだ。いや、痛みはないもかもしれない。ただ気持ち悪いモヤモヤが胸の中に広がっていく感じだろうか。それはもしかしたら、暴力よりムゴいことなのかもしれない。

でも、そうやって人は大人になっていくのだろうか。

世の中には理解できない人たちがたくさんいる。

そんな社会で彼女たちは逞しく生きていってほしい。

そう思った。

現在も、パパ活や立ちんぼの類が流行ってるらしい。

でもこれも人間が「ここではないどこか」を求めてしまう限り、なくなることはないだろう。

時代は移れど、人間は変わらないのだ。


エンディングが印象的。
主演の女の子が歌っていて、そんなにうまくはないんだけど、なんとも言えない魅力的な声でした。

あと、仲間由紀恵が出ていることに驚いた。なんか見たことあるなとは思ったけど、エンドクレジットが出るまで気づかなかった。
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