yuzu

ブレインウォッシュ セックス-カメラ-パワーのyuzuのレビュー・感想・評価

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面白かった。
男性目線で撮られる映画の歴史を振り返る。

ただ、この映画を100%支持するかといわれたら微妙。上映後のトークで明学の教授が「こういった男性目線の描写を否定しているわけではないよ!」って言ってたけど、劇中で「こういう描写の積み重ねが性暴力につながる」とまで言ってたし…。そこまで言うのか。

そもそもこの映画だって十分恣意的で、男性優位の時代にドロシー・アーズナーは強い女性を描いたって評して(それ自体はもちろんそうなんだけど)「恋に踊る」のモーリン・オハラのスピーチシーン抜き出してたけど、その後のルシル・ボールとのキャットファイトシーン(これは男性目線だよね?)は無視してるし。

あと、こういう男性目線の描写に対して「物語上必要ない」って言葉が何度も出てくるけど、別に物語上必要なくてもその映画には必要なんじゃ…?ってすげえ違和感あった。タランティーノの映画なんて物語に不要なもん取り除いたら30分映画になるよ…。
あと、いちいち「現実的じゃない」とか言うのも…。デ・パルマの「キャリー」の更衣室シーンを「更衣室でこんなキャピキャピしねえよな笑」とか言ったところで、そもそも女の子が超能力で人殺す映画にリアリティ求めるか…?

まあ、男性目線の描写の映画だけじゃなくて本来はもっと色んな表現の映画があるべきで、そのためにまず制作現場の差別もハラスメントもなくさなきゃってのは当然だけど。

あと最悪なのが「マンディンゴ」の扱い…。
該当箇所だけ切り出してどうこう言うのは、問題発言だけ抜き出して炎上させてるSNSの投稿みたいでハッキリ言って大嫌い。
ニナ・メンケスが「マンディンゴ」をどう捉えてるかは自由だけど、出てきた受講者たち、お前ら全員ほんとに「マンディンゴ」観て全員主張に同意してるのか…?異常だろ。

なんかすげえ文句言いたくなる映画ではあった。でももちろん、これから色んな映画を観る上での「気づき」にはなるよ!
ちなみに自分はこれ観た翌日、「恋するプリテンダー」を観ました。楽しかったー。
yuzu

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