北村有

バジーノイズの北村有のネタバレレビュー・内容・結末

バジーノイズ(2023年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

孤独にものづくりをすること自体は悪いことではない、というか、ものづくりに集中するため、純度の高いものづくりをするなら、孤独は必要だと私はおもう。
でも、この映画では、というか清澄くんは、孤独ではなく人とものづくりをする道を選んだ。それはそれでよし。
つまりは、自分で納得のいく生き方ができるかどうかが大事。

うしおは、自分はどんなものが好きなのか、何が得意なのか、やりたいこともわからない子で、だからこそ、たまたま清澄のつくった曲を聴いて「良い」と思った。
はじめて自分の感覚で、アンテナで、センサーで良いと感じ取ったものを信じようとした。そういう意味でのファン第一号だし、自称痛いファンなんだとおもう。

うしおが清澄から離れようと思ったのは、ファンである自分にさえも存在意義がないのでは、と自分自身を疑ったから。
自分を必要としてくれない(ように思えた)清澄や、その場、空間、環境そのものを、疑ったり、あてつけや復讐のようにその場を離れたわけではない。
ちょっとメンヘラで構ってちゃん気味だけど、きっといまの10〜20代には共感されそうなキャラクター。

人の家の窓を破って侵入するのは普通に犯罪だと思ったし、なんだこの子、と引いたけど、後になって「清澄の殻を初めて破った子」としてのメタファーだったんではないか、と思った。
北村有

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