ぶみ

怪物の木こりのぶみのレビュー・感想・評価

怪物の木こり(2023年製作の映画)
3.0
生き残るのは、どっちだ?

倉井眉介が上梓した同名小説を、三池崇史監督、亀梨和也主演により映像化したスリラー。
斧で脳を奪っていく連続猟奇殺人事件が発生、次のターゲットとして狙われた弁護士の姿を描く。
原作は未読。
主人公となる弁護士・二宮彰を亀梨、事件を追う警視庁のプロファイラー・戸城嵐子を菜々緒、同じく事件を追う刑事・乾登人を渋川清彦、二宮の婚約者・荷見映美を吉岡里帆、捜査上で浮上する過去の殺人事件の容疑者・剣持武士を中村獅童が演じているほか、柚希礼音、堀部圭亮、染谷将太等が登場。
物語は冒頭、山道で二宮が運転するBMW・8シリーズがスバル・インプレッサに追われるシーンでスタート、その後、予告編にもあるようにインプレッサがクラッシュすることとなり、この場面については、最近の邦画では珍しく、なかなか豪快な壊しっぷりであったのだが、実は、そこに至るまでに、そんなに速度が出ている領域ではないのにもかかわらず、派手なテールスライドをするシーンがあり、そのいかにも凄いカーチェイスだぞと言わんばかりの演出にゲンナリした次第。
以降、「怪物の木こり」なる絵本の主人公になぞらえた仮面を被った猟奇殺人事件の犯人から、実はサイコパス気質である二宮が狙われ、事件の捜査が進められる展開となるのだが、首を斬られるようなシーンでの血飛沫の飛び具合たるや豪快なものであり、そのリアリティは別として、グロさはなかなかのもの。
ただ、これはもはや邦画のみならず、この手のスリラーやサスペンス作品に共通と言えるのだが、警察のダメっぷりが如実に表現されているのと、演技云々ではなく、プロファイラーとして菜々緒を起用したのは、若干ミスキャストではなかったかなと思うとともに、染谷演じる医師の存在意義が今一つよくわからなかったり、これまた邦画あるあるなのだが、全てをこと細かく台詞で説明してくれるため、わかりやすさは抜群ではあるものの、全体的に面白みや深みが欠けたかなというのが正直な感想。
また、その菜々緒演じる戸城が乗るクルマが、何故か古い三菱・パジェロのショートであり、キャラクター設定からだけでは、そのクルマをチョイスした意図が今一つ読み取れなかったのもクルマ好きとしては残念だったところ。
決してつまらないわけではなく、映像もチープ感はそれほど感じなかったため、サイコパスを扱ったスリラーとしては及第点であるとともに、作品内で、絵本を映画化する監督が「鬼才ティルム・バートン」とされていたのが何気にツボった一作。

これで正当防衛だ。
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