何度かウルッと来たし、良い映画「感」はあるのだが、何かがしっくり来なかった。
ので、私にとってはあと一歩が足りない惜しい映画だった。
映像はめちゃくちゃ綺麗だし、音楽もハンスジマーで迫力があった(途中音量間違えてるのでは?というくらいうるさかったが)。
劇中でアメリカに核爆弾が落とされていた点や、日本がニューアジア側であり、アメリカと共同戦線を取っていない点はかなり新しく感じた。
また、ほかのレビューを読んで、ベトナム戦争を意識して作られた作品ということを知ったが、その背景を含めると少しは厚みが増す。
ただ、それだけだ。
イマイチな理由を1日考えてみたが、映画が描きたかった目的に対して、行動目標が小さすぎたかったから、だと思う。
映画としては、人間(正確にいえばアメリカ人)とAIの共存を目的としていたのだろう。
だが、映画で描かれていた行動目標はアメリカ人がAI殲滅のために建設した飛翔する軍事施設「ノマド」の破壊だけだ。
ノマドを破壊すれば戦争が終わる、といったセリフが何度か出てきたが、果たしてそうだろうか。
根本的にAIに対しての理解がアメリカ人間で進んでいないので、ノマドのような施設を再度建設して同じことを繰り返すだけではないだろうか。
つまり、抜本的解決に至っていない。
原作なしの単発で深くまで描くのは難しいのかもしれない。
だが、そこを超えなければB級の域を出ないだろう。
もちろん、私は映画を作ったことがないので偉そうなことは言えない立場なのは重々承知だが。
P.S. 監督が日本好きなのかなんなのか、やたらと日本語が出てくるのだが、クライマックスのシーンで住民が持っていたプラカードに「もういや遊牧民」と書かれていたのには思わず笑ってしまった。
おそらく、 “No More NOMAD”を日本語訳したのだろうが……誰か教えてあげて笑笑